なんでもセミナーは京大内で行われる幾何系のインフォーマルなセミナーです. 世話人は谷口正樹です.
後期の時間と場所は, 毎週火曜日, 14:00~, 京都大学理学研究科3号館552室です. セミナー発表のない日は, 雑談・交流の会になります. 講演希望者は, taniguchi.masaki.7m"at"kyoto-u.ac.jp (谷口正樹)にご連絡ください.
日程:2025年7月28日月曜日, 15:00~17:00
場所:京都大学理学研究科6号館809
講演者:久保田肇(京都大学数学教室)
タイトル:
diagonal knotについて
アブスト:
grid homologyとは,knot Floer homologyの純粋に組み合わせ的な再構成である. grid homologyはgrid diagramという図式から計算されるが,特定のgrid diagramで表すことのできる結び目をdiagonal knotという. この講演では,以下の3点について説明する.
(1) 既存のよく知られる結び目のクラスとdiagonal knotとの比較,
(2) diagonal knotがある意味でgrid homology上で扱いやすい結び目であること,
(3) grid homologyがdiagonal knotのどのような幾何的な性質を捉えるか.
日程:2025年4月21日月曜日, 15:00~17:00(延長の可能性あり)
場所:京都大学理学研究科6号館809
講演者:久保田肇(京都大学数学教室)
タイトル: Grid homology and cobordism
アブスト: grid homologyとは,knot Floer homologyの組み合わせ的な再構成である. knot Floer homologyのコンコーダンス不変量であるtau不変量やUpsilon不変量はgrid homologyを用いて組み合わせ的に再定式化されており,そのコンコーダンス不変性も組み合わせ的に証明される. また,unoriented grid homologyなるものを用いることで,結び目のslice genusのunoriented analogueへの応用も存在する. このセミナーでは,これらのことを紹介する.
日程:2025年3月27日木曜日, 13:00~15:00(延長の可能性あり)
場所:京都大学理学研究科3号館109
講演者:久保田肇(京都大学数学教室)
タイトル: Grid homology and the tau invariant
アブスト: grid homologyとは、knot Floer homologyと同型な、純粋に組み合わせ的な不変量である。grid homology(あるいはknot Floer homology)から定義されるtau不変量は低次元トポロジーへの応用を多く持つ重要な不変量で、例えばSarkarはtorus knotのtau不変量がgrid homologyを用いて容易に計算出来ることから、Milnor予想の組み合わせ的な再証明を与えた。このセミナーでは、grid homologyとそれから定義されるtau不変量などの不変量の定義および簡単な計算例をまず紹介する。時間に余裕があれば、grid homologyのcobordism mapがどう記述され、tau不変量のコンコーダンス不変性がどのように示されるかを紹介する。
日程:2025年3月12日水曜日, 13:00~15:00
場所:京都大学理学研究科3号館108
講演者:佐野岳人(理化学研究所iTHEMS)
タイトル: Rasmussen 不変量のコボルディズム的解釈と計算
アブスト: Rasmussen のs不変量は Khovanov ホモロジーから得られる整数値の結び目不変量で、Milnor 予想の組み合わせ的な再証明を与えるなど低次元トポロジーへの目覚ましい応用を持つ。s-不変量は量子次数によるホモロジー群のフィルトレーションを用いて定義されるものであるが、そこから幾何的な意味を読み取るのは難しい。本発表では、Bar-Natan による Khovanov ホモロジーのタングルとコボルディズムを用いた定式化に基づいて、s-不変量に対してもコボルディズム的な解釈を与える。この解釈によって、s-不変量は結び目のタングル分解から計算ができるようになる。さらに応用として、特定のプレッツェル結び目の無限族に対してそのs-不変量が決定できることを示す。
谷口が取ったノート