#380 無痛は無痛か?
名前を変えることで意識を変える、あるいは変えようとする試みは、さまざまな分野で行われているのだと実感しました。
8月24日の朝刊に掲載されていた「"無痛"分娩 "鎮痛"に変えませんか」という記事は、とても新鮮な内容でした。ちょうど先日、無痛分娩を経験した友人3人から「普通に痛かった」という話を聞いたばかりだったからです。その時は友人たちも含めて「そういうものなんだ」と思う程度でしたが、日本麻酔科学会が「鎮痛」という言葉を使った呼称を提案するなど、専門家が声を上げていることを知り、将来的に本当に名称が変わるかもしれないと感じました。
記事によると、「無痛」という言葉が「まったく痛くない」という過度な期待を生み、中には「痛かったからお金は払わない」と主張する人までいるそうです。そうしたトラブルを避けるために「和痛分娩」と表現する医療機関もありますが、痛みは主観的なもので感じ方には個人差があります。そのため、痛みを「鎮める」処置を行うという客観的な事実を表す言葉として、「鎮痛」が麻酔科医にとってより正確な表現だと述べられていました。
すでに学会の用語集には「分娩時鎮痛(鎮痛分娩、無痛分娩、和痛分娩)」という新たな名称が追加されたそうです。言葉が整理されることで、麻酔科医が果たす役割を明確に伝えられるようになったと言われています。
現在の日本の法律では、専門の麻酔科医がいなくても産科医が麻酔を担当して無痛分娩を行うことができます。しかし、麻酔科医の役割は単に痛みを抑えるだけでなく、呼吸や血圧などの循環管理に至るまで多岐にわたります。出産を安全に進行させるうえで麻酔科医の存在がいかに重要か、記事から強く伝わってきました。名付けを変えることが、そうした重要な役割への理解や意識の広がりにもつながっていくのではないかと感じています。
参考
https://www.asahi.com/articles/DA3S16531796.html
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