#378 ニュース砂漠
以前取り上げた、オーストラリアで、IT大手企業に対してニュースの使用対価を報道機関へ支払うよう実質的に義務付ける法案が可決されたというニュースを目にし、新たな動きに少し嬉しく思いながら記事を読んでいました。
この記事では、政府が報道機関を支援する法律を推進する背景について、オーストラリア競争・消費者委員会の元会長であるロッド・シムズ氏と、ディーキン大学のクリスティ・ヘス教授という二人の専門家へのインタビューをもとに解説がなされています。
ロッド・シムズ氏は、適切な対価が支払われていない現状を「市場の失敗」と呼び、報道機関の重要性を強調しています。政府がどれほど報道機関から追求を受けたとしても、メディアによって議論が深まること自体の価値を政府は理解しているのだそうです。だからこそ、AI規制についても同様に政府が動き、法案が推進されました。また、子どものSNS利用を制限する法律についても、政治家が突如言い出したわけではなく、独立機関が調査を行い問題を可視化したからこそ実現したと指摘されています。日本で同様の制度を実現するためにも、まずは「なぜその制度が必要なのか」をしっかりと説明するところから始めるべきだという意見には、納得させられます。
一方、クリスティ・ヘス氏の発言で特に印象的だったのは、「日本のようにほぼ毎日、朝刊・夕刊を発行する時代は、オーストラリアでは何十年も前に終わった」という言葉です。これまでは考えたこともない視点だったので、正直とても驚きました。ほかの国のメディア事情についても、もっと調べてみたいです。
オーストラリアでは現在、地方紙がなくなった町に住む人々が首相のニュースは知っていても、地元議会で何が決まったかは分からないといった状況に陥っているそうです。自治体が電柱に故人の情報などを貼ってお知らせしている地域もあるのだとか。こうした状況は「ニュース砂漠」と呼ばれています。
さらに、地方紙がなくなった代わりにFacebookで情報共有のページを立ち上げた例もあるようですが、「徐々に議論が感情的になり、中傷が増え、アルゴリズムで重要な投稿が埋もれて情報が錯綜する」という典型的なパターンに陥ってしまうと言われています。だからこそ、独立していて信頼できる地方紙の存在が必要であり、そうしたメディアが持続可能となる仕組みの構築が今まさに期待されていると締めくくられています。
参考
<考論>豪、IT大手にニュース対価義務化 ロッド・シムズ氏、クリスティ・ヘス氏https://www.asahi.com/articles/DA3S16531081.html
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