#377 模倣と創造について
「模倣と創造」というキーワードで文献や資料に目を通していました。
芸術作品における模倣について、石橋・岡田(2004)は創造へとつながるプロセスのなかで、模倣には「他者理解」と「自己理解」という2つの側面があると指摘しています。
まず他者理解の側面としては、模倣を通して作品が生み出されるプロセスを近似的に追体験することで、単に鑑賞する以上に作品を深く理解できる点があげられます。一方で自己理解の側面としては、自分とは異なる見方を表した他者の作品に触れることで、どの点が自分と違うのかが意識化されやすくなり、他者との違いを通してかえって自分らしい表現が明確になるのだそうです。
そして、この2つの側面が相互に作用することで、新たな創造が促進されていきます。
実際に創造的な作品を生み出した被験者についても、模写を通して画家への理解を深めようとする姿勢が、同時に自己への気づきを生み、自分自身のオリジナリティの理解を促進させたのではないかと分析されています。つまり、模写という体験を通じて自分らしい表現に気づき、それを発展・追求させていったからこそ、新しい作品を生み出すことができたのだと思われます。
参考
石橋健太郎, 岡田猛. (2004). 創造のための 「芸術作品の知覚」 経験: 模倣に焦点をあてて. 認知科学, 11(1), 51-59.