#353 コミュニケーションの動態
井上他(2006)の序では、ガンパーズが1970年代から展開してきたコミュニケーションモデルについてまとめられています。それは、言語コミュニケーションにおいて副次的なメッセージがいかに機能しているかという点に焦点を当てたものです。具体的には、「言語によるコミュニケーションにおいても、非言語的なシグナルが言語的メッセージの解釈に制約を与え、コミュニケーションの慣習を共有している限りにおいて、ある解釈を誘導する」と示されています。
また副次的なメッセージに関して、「韻律、定式表現、コードスイッチングなどのパラ言語的な要素が解釈の枠組みを与える働き、すなわちコンテクスト化に活用されるという知見」は、相互行為の社会言語学(interactional sociolinguistics)が生み出したものだと説明されています。井上はこの成果をコンテクスト観の革新であると述べており、コミュニケーションという動態を「コンテクストという外在的要因が外部からコミュニケーションの主体に制約を与えるだけでなく、同時に主体自身が改編を迫っていくことでコンテクストを作りあげていく」という考え方として捉えています。なお、この論文では女子高生を中心とした方言ブームや敬語、若者言葉、カタカナ語などが取り上げられているため、今後の記事でもそれらの例について触れていければと考えています
p.s. 7月30日より軽井沢での研究会合宿に参加しております(現在7月31日)。自身の発表もあったためブログの更新が滞ってしまいましたが、1年間継続の達成まであと少しとなりましたので、引き続き気を引き締めて頑張ります。
参考
井上逸兵. (2006). コミュニケーションの生態系: 現代日本の若年層の言語使用を中心として. 『慶應義塾大学日吉紀要. 言語・文化・コミュニケーション』, (36), 1-16.
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[相互行為の社会言語学] [相互行為]