#349 「義実家」の背景とこれから
本日の朝、平日に読めずたまっていた新聞を読み進めていたところ、7月22日の記事で社会言語学者・中村桃子先生の記事を発見しました。
「『義実家』から見える、価値観の変化」というタイトルのその記事では、辞書に収録され始める一方でいまだ違和感を持つ人もいる「義実家」という言葉について、中村先生は家族関係の新たな枠組みを示すものとしてポジティブに捉えていらっしゃいました。
記事によると、そもそも明治民法で規定され戦後に廃止された家制度のもとでは、結婚した女性は「嫁入り」をして嫁ぎ先が新たな自分の家とされていました。しかし現在では、自分の生まれた実家と配偶者の実家は対等に存在しているという感覚を持つ人が増えています。そうした感覚を言い表す言葉がこれまでなかったため、新たに「義実家」という表現が生まれてきたのではないか、と考察されています。
これと同様に、「しゅうと」「しゅうとめ」という言葉についても興味深い話題が挙げられていました。もともとは、妻が夫の家に嫁入りするため夫の両親は妻にとっても「両親」であり、あえて区別して呼ぶ必要がありませんでした。そのため本来は、夫側が妻側の両親を指すときに使っていた言葉だったそうです。それが時代の変化とともに、女性側からも使われるように広がっていったのだといいます。また記事では、今では新しく戸籍を作るため「誰かの戸籍に入る」わけではないにもかかわらず、家制度の名残として使われ続けている「入籍」という言葉についても紹介されていました。
「義実家」という言葉に話を戻すと、朝日新聞の校閲担当の解説では、まだ十分に社会へ浸透した言葉とは言えず言い換えを提案する対象とされているそうです。しかし中村先生は、この言葉が生まれる背景には家制度に苦しんできた多くの女性たちの人生があったはずであり、だからこそ「義実家」という言葉をメディアにも積極的に使ってほしい、と語られています。
この記事を読んだ後、大学時代の友人と会いお茶をしていたところ、友人が会話の中でまさに「義実家」という言葉を使っており、思わず「おっ」と心の中で反応してしまいました。