#341 メディア別「翻訳」
本日の朝日新聞の朝刊で、クリエーティブディレクターの辻愛沙子さんの連載「パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで」より、「個人の発信支え 対話育むハブに」という記事を読みました。なんと調べてみると、辻さんは私と同い年で、大学も同じということが分かり驚いています。
記事の中では、新聞がこれからどうあるべきかという提案がなされており、特に「メディアの違い」について検討されていた部分がとても印象に残りました。自分自身の備忘録も兼ねて、こちらでご紹介したいと思います。
辻さんは、新聞がこれからも読み継がれるために必要な要素を大きく3つ挙げています。
「どう届けるか」を考える前段階として、まず1つ目に大切なのが「どう信頼の輪に入るか」ということです。SNS時代になり、情報社会の主役は組織から、価値観や文脈、人柄の見える「個人」へとシフトしています。その中で、「新聞社が直接、すべての人へ語りかける時代ではなくなる代わりに、個人が安心して引用、拡散できる「信頼されるソース」にとなる」ことが重要なのではないかと指摘されています。
2つ目は、個人的に最も興味深く読んだ「どう届けるか」という点です。辻さんは、「デジタルで記事を公開すれば自動的に届く存在ではない。同じ情報でも、媒体ごと、世代ごとに、最適な表現に翻訳する作業が必要になる」と述べています。
具体的には、以下のように各媒体の特性に合わせた「翻訳」が求められます。
X(旧Twitter): 紙面デザインやインフォグラフィックスを武器に、画像1枚で要点が理解でき、保存や共有がしやすい形にする。
TikTok: 全体像をパッとつかめる、短く整理されたニュースにする。
YouTube: 背景や歴史まで含めて、じっくりと理解できる解説動画にする。
ポッドキャスト: 記事には書ききれなかった取材の裏側や、記者自身の葛藤、思考を音声で届ける。
このように、信頼できる一次情報をそれぞれの媒体の特性に合わせて最適化していく発想こそが重要であると説かれています。これは、先進的な企業のSNSマーケティングやメディア展開を見ていても、すでに先取りして実践されていることだと感じていたため、非常に腑に落ちました。
そして最後の3つ目として、市民を取材対象としてだけでなく、自ら語り、社会を動かす主体として捉える「市民との双方向性」を挙げています。読者との「コール&レスポンス」をこれまで以上に意識していくことが大切だということです。
メディアのあり方や情報の届け方について、これからの自分の研究にもぜひ活かしていきたいと思わされる内容でした。
参考
https://www.asahi.com/articles/DA3S16505719.html