#338 親を何と呼ぶか
石黒(2013)の研究では、男子と女子がそれぞれ父親や母親をどのように呼ぶのかを調査しているのですが、その比較がとても興味深いものです。
この研究によると、男子のほうが社会化が早く進み、親との距離をできるだけ遠ざけるような名称を選ぶ傾向があります。一方で、女子のほうは呼び方の変化があまりなく、親との距離を近づけるような親しげな名称を選ぶといいます。
具体的にその変化を追ってみると、男女でかなり違いがあることが分かります。
まず男子の場合(年代や人にもよりますが)、幼稚園や保育園の頃の「パパ/ママ」から始まり、小学生のある時期に「お父さん/お母さん」へと移行します。そして中学生から高校生くらいになると「父さん/母さん」になり、大学生から社会人にかけては「おやじ/おふくろ」と変化していきます。さらにその後は、「できるだけ呼ばないようにする」あるいは「名前+さん」で呼ぶようになっていきます。
これに対して女子の場合は、「パパ/ママ」という呼び方から変わる時期が遅く、成人になってもそのまま呼び続ける人も珍しくありません。中学生頃になると「お父ちゃん/お母ちゃん」や「お父さん/お母さん」と呼ぶようになりますが、男子のように頭の「お」が取れることは少ないのが特徴です。また、稀に「おやじ」と呼ぶことはあっても「おふくろ」と呼ぶことはありません。その後、自身が母親になると、今度は孫から見た「おじいちゃん/おばあちゃん」を使うようになっていきます。
私自身は変わらず「お母さん/お父さん」を比較的幼い時からずっと使用していますが、母親をたまに「名前」でよぶこともあります(友達のように)。ただ、それは父親には仲は良くてもなかなかありません。
石黒さんの説明にも「男子のほうはからかわれることが嫌で、子どもっぽく見られないようにしたいという欲求が強く、女子のほうはかわいく聞こえるような名称を好み、両親、とくに母親と近い関係を保ちたいという欲求が強いことがわかります」と指摘されています。