#329 いつもと違う書き方
最近は新聞記事などをまとめた投稿が多く、自分自身の探索不足や勉強不足を感じることもありますが、どれも面白く、そのまま忘れてしまうのはもったいないのでブログに書き留めさせてください。
今回も、このブログでたびたび取り上げさせていただいている飯間浩明さんの著書『街のB級言葉図鑑』からの話題です。本の中では、銀座にある日本料理店の看板に「おまかせコース 壱万参千円から」と書かれていた事例が紹介されています。
この「壱、弐、参…」という数字の数え方は「大字(だいじ)」や「強字(つよじ)」などと呼ばれており、古代から現代に至るまで長く使われているそうです。もともとは、通常の漢字である「一、二、三…」だと画数が少なすぎて、後から書き換えられたり見間違えたりする危険性があるため、あえて画数の多い漢字が用いられるようになったといいます。
ただ、今回の日本料理店の看板に関しては、そうした不正防止の目的が当てはまるとは言えません。これについて飯間さんは、お店側が「意図して表記を変えることで、言葉の味わいを深めている」、つまり「高級店らしい雰囲気」を演出しているのだと指摘されています。
ちなみに大字は10まで存在し、4以降は「肆(よん)、伍(ご)、陸(ろく)、漆(なな)、捌(はち)、玖(きゅう)、拾(じゅう)」と書きますが、肆以降の文字は平安時代の中頃から次第に使われなくなったそうです。それでも、現代において文字の味わいを深めるための使い方はしっかりと残っています。
私がこの大字に出会う機会といえば、結婚式のご祝儀袋に記入するときくらいです。そのたびに「金 参萬圓」まで書くのはやりすぎだろうか、「金 参萬円」あたりが丁度いいのかな、もういつもの書き方でいいのでは…などと迷ってしまいます。書き慣れていないこともあっていつも字が格好悪くなってしまうのですが、この形式そのものに「特別感」があるからこそ使われているのだと思うと、今度からはもう少し気持ちを込めて、大切に書きたいなと思い改めました。
参考
https://www.asahi.com/articles/DA3S16496614.html?iref=pc_rensai_long_289_article
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[大字]