#306 落語家さんのおはなし
昨日、大学の企画で落語家の立川志の春さんの講演会に参加しました。志の春さんの海外生活の経験や企業に勤められていた経歴、そして落語家になるまで、なってからの歩みのすべてが現在の素晴らしい語りに繋がっていて、非常に興味深いお話ばかりでした。
特に印象的だったテーマは、過去が未来を作るだけでなく「未来が過去を作る」こともある、というお話です。「落語家になんてなれない」「英語落語なんて無理だ」「日本語でしか伝わらない」と言われた過去の辛い思いも、それを乗り越えた今の視点から見直すことで、当時の過去の「捉え方」自体を変えることができるというエピソードには深く共感しました。未来の自分が過去を変えられるように、そのプロセスにおけるモチベーションを保ち続けたというお話も、心に強く響いています。また、学生との質疑応答の中では、喜怒哀楽の「怒」や「哀」といったネガティブな感情こそがストーリーとしては面白くなる、という心持ちについても触れられていました。その渦中にいる時は負の感情に呑まれてしまいがちですが、後で「美味しいネタになるかもしれない」と思える心の余裕を持つことの大切さを教えていただきました。
講演の前に拝見しておくべきだったのですが、志の春さんのホームページを見ると、落語(英語落語も含めて)がYouTubeにアップされていました。動画を拝見すると、羽織を脱ぐ仕草が本編へ入る非言語的な合図であることなど、多くの気づきを見て取ることができました。日本の江戸時代から続く笑いが現代でもしっかりと伝わって笑えるということは、笑いが「普遍的」な性質を持っているからなのだと実感します。そしてそれは、違う言語であっても同様であるというお言葉には、どこか大きな元気をいただきました。また、何が面白いかは「相手に決めてもらう」という姿勢も、先ほどのテーマと繋がっていて大変興味深い指摘でした。
さらに、異文化コミュニケーションで気をつけるべきこととして「その言語や文化のタブーを意識し避けるようにする」と答えられていたのも印象的です。コミュニケーションにおける本質的な大切さを浮き彫りにしてもらえるような、終始ワクワクする時間でした。
お話の中で、志の春さんが「International Storytelling Festival(国際ストーリーテリング・フェスティバル)」という大会に出演された実績を知り、そちらにも興味が湧きました。フェスティバルの歴史については、以下のように記述されていました。
Since its first days, the Festival has featured a stunning array of world-class talent that share oral traditions from across history and all over the globe. Cultural representation has included performers from the African American, Jewish, Aboriginal, Egyptian, Asian, Celtic, Hispanic, Israeli, Liberian, French, African, Caribbean, Native American, and the deaf communities, among others.
志の春さんの落語のお話を聞いたことをきっかけに、そこから「ストーリーテリング」「笑い」「タブー」「異文化コミュニケーション」など、これから色々なキーワードで自分の思考を発展させていけそうだなと、胸を膨らませた昨夜のひとときでした。
参考
https://www.storytellingcenter.net/
https://shinoharu.com/
keywords
[笑い] [異文化コミュニケーション]