#301 連濁を略してわかりやすく?
ついに新聞の購読を始めました。今朝は日曜日ということもあり、時間をかけてじっくりと隅々まで読むことができ、なんと幸せな日曜日の朝だろうとしみじみ感じています。平日にどれくらい読む時間を確保できるか、また時間を残そうと思えるかはまだ未知数ですが、まずは無理なく楽しく読み進めていきたいです。
そんな記念すべき今日の紙面で、言葉に関して特に興味を惹かれたのが、国語辞典編纂者の飯間浩明さんによるコラム『街のB級言葉図鑑』でした。
記事のなかでは、築地場外市場の値札で見かける「すわいかに」「たらばかに」「岩かき」や、上野のアメ横商店街の「酢たこ」「銀さけ」といった表記が紹介されていました。飯間さんによると、これらは「主に魚介名の後半、いわゆる連濁(れんだく)する部分の濁点をあえて略している」のだそうです。(「しまあじ」や「ブラックタイガー」はそのまま濁点付き。)
そもそも連濁とは、日本語の複合語において、後ろにくる言葉の最初の清音が濁音に変化する現象を指します。たとえば「掘りごたつ(こたつがごたつに変化)」や「習慣づける(つけるがづけるに変化)」などが代表例です(笹野・黒橋 2007)。色々と連濁に関する論文に目を通してみたのですが、笹野・黒橋(2007)による「複合語の後部要素の初頭にある清音が、濁音に変化する現象」という定義のまとめがとても分かりやすく腑に落ちました。ただ、この連濁には例外も多く、その規則性はまだ完全には解明されていないのだそうです。
それにしても、なぜ市場の人たちはわざわざ濁点を消して書くのだろうと疑問に思いましたが、記事を読み進めると、この表記のほうが視覚的に商品名が一目で分かりやすいからなのだと説明されていました。
言われてみれば、私たちは「ずわいがに」や「たらばがに」という細かい種類に注目するよりも前に、まずその上位ジャンルである一般名称の「かに」や「かき」「さけ」「たこ」という存在に目を向けます。そう考えると、濁点のない基本の形のほうが直感的に伝わりやすいのかもしれません。
また記事では、寿司チェーン「〇〇ずし」の英語表記が「〇〇 Zushi」ではなく「〇〇 Sushi」になっていることにも触れられていました。やはりこちらも、外国人の方にとっての分かりやすさを優先した結果だと指摘されています。
参考
笹野遼平, & 黒橋禎夫. (2007). 形態素解析における連濁および反復形オノマトペの自動認識. 言語処理学会第 13 回年次大会発表論文集, 819-822.
https://www.asahi.com/articles/DA3S16478506.html
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