#275 流動的なことば
津田(2001)によれば、トゲウオのコミュニケーションは生得的に獲得されているものであり、動物のコミュニケーションシステムは静的で閉鎖的であると言われています。
一方で、人間のことばは、社会の中で作られ獲得されていくものであり、常に社会の中で変化する流動的な性格を持っています。
津田は人間のことばの特徴について、いくつかの重要な点をまとめています。まず、単なる音レベルだけでなく、いろいろな音を組み合わせて異なった単語を作り出していく「構造の二重性」が挙げられます。また、一般的に言語表現としての音とその音が示す意味内容との間には、一定の必然的な関係は見られないという意味での「記号形式と意味との間の恣意性」があります。さらに、その場の環境から時間的、空間的に置き換わった事象について伝達することが可能であるという点で、「転移性」といった点が特徴的であると指摘されています。
また、ことばは世代ごとに受け継がれてきたものであり、その時代の考え方を端的に表したものでもあると言えます。そのため、もしその考え方が廃れるのであれば、そのことばもその社会において存在意義をなくし、消え去ってゆくとも指摘されています。
参考
津田葵(2001) コミュニケーションの日米比較. 大阪大学出版会.
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[恣意性]