#272 ユーモアのメッセージ性
大島(2001)は、異文化コミュニケーションにおける重要な要素の一つとしてユーモアを挙げています。ハワイを対象とした調査では、多様な人種が共存する他民族社会において、異なる民族同士が平和に共存するために、異文化をネタにしたジョークが日常のコミュニケーションに欠かせない役割を果たしていることが明らかにされています。
こうしたジョークの多くは、自分たちをネタにして「自分たちはこんなことをする、おかしいだろう」と笑い飛ばすスタイルをとっています。これは笑いを通して自己主張をし、相手に自分たちのことをより深く理解してもらうための試みです。
このように自分自身をネタにする「自嘲ユーモア(self-deprecating humor)」は、大島によれば自信の裏返しでもあります。「私にはこんな変なところがありますから、どうぞ笑ってください」と言いつつも、その背景には「私には他にも素晴らしい点や得意なことがたくさんあるので、変なところを笑われても全く構わない」という強い自信が表れているといいます。
大島は、このような「ユーモア」には強いメッセージ性があると指摘しています。つまり、単に相手を笑わせること自体が目的なのではなく、本当に伝えたいメッセージを相手の心に強烈に印象づけることこそが、ユーモアの真の目的なのであると定義しています。
参考
大島希巳江. (2001). 『世界を笑わそ!』. 研究社.
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