#264 ファンのコードスイッチング
最近、コード・スイッチングに関する最近の研究にはどのようなものがあるのか気になり、簡単に調べていました。その中で、YouTubeなどのソーシャルメディアを対象とした研究がいくつか見つかったのですが、今回実際に読んでみたのは Adawiah et al. (2023) による調査です。
この論文では、インドネシアのK-POPファンがWhatsAppやTelegram、あるいはインタビューなどで発する言葉を分析しています(データの詳細が不明な点は少し残念ではありますが)。彼らの発話には、インドネシア語をベースに韓国語や英語が混ざり合う「コード・ミキシング」が見られ、主に単語やフレーズの単位で挿入されていることが明らかにされています。なお、文の境界での切り替えや音韻的な変化などは、この調査の範囲では確認されていないようです。
具体的に使われている言葉としては、韓国語の「ミヤネ(ごめん)」「ヨロブン(みんな)」「テバ(やばい)」「オモ(わあ)」といったものが挙げられています。これらは韓国ドラマなどでも頻繁に耳にする、馴染みのある表現かなと思います。また、英語では「fandom(ファンコミュニティ)」といった言葉が使われていました。
翻って日本のK-POPファンについて考えてみると、こうしたフレーズを知識として知ってはいても、実際の発話の中でコード・ミキシングと言えるレベルまで使いこなしている方は、インドネシアの事例に比べるとまだ少ないのではないかと感じます。といっても、私自身が熱心なファンコミュニティに属した経験がないので、一概には言えないかもしれないのですが。なんとなく、直観的には、「ミーハー」とか「韓国かぶれだ」などと言われそうな気もします。
この研究で興味深いのは、こうしたコード・ミキシングが単なる言葉の混在ではなく、K-POPという特定のトピックについて熱心に語る際に、コミュニティの団結を強めたり、グループとしてのアイデンティティを示したりする機能を果たしている、と指摘している点です。
ファン同士が共有している「暗号」のようで、なんだか少し羨ましい気持ちにもなります。
参考
Adawiah, R., Nasrah, N., Zamzam, N., AR, T., & S., M. (2023). CODE MIXING USED BY K-POP LOVERS ON SOCIAL MEDIA. Inspiring: English Education Journal, 6(1), 36–45. https://doi.org/10.35905/inspiring.v6i1.4351
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[コードスイッチング] [アイデンティティ]