#261 文字のコード・スイッチング
東(2009)では、言語の切り替えだけでなく「文字のコード・スイッチング」についても詳しく取り上げられています。
これは、当時の携帯電話におけるメールのやり取りが日常的なものとなった背景の中で触れられている話題です。著者は絵文字について、「どうも、この絵文字メールは、特に若者の間で(若者に限らないが)、相手への親近感、感情、自分のウチの気持ちなどを率直に表現するために使うもののようである」と述べています。
興味深いのは、絵文字を使う・使わないの選択によって「自分の感情の揺れを表現し、それを相手に伝えている」という点です。このように絵文字メールと非絵文字メールをスイッチ(切り替え)させることが、読み手の注意を引き付ける役割を果たしていると分析されています。
本書では、ある大学生が友人に宛てて送信した実際のメールが紹介されています。夜遅くに質問したことを詫びるメールでは、「お邪魔してゴメンね💦んじゃまた明日🌠🌠」という文面が使われていました。
ここでは「申し訳ない」という気持ちが「💦」に、「おやすみ」という挨拶が「🌠」にコード・スイッチングされています。これによって相手への親近感を醸し出し、相手も受け入れやすく、結果として「わび」の効果を高めることを狙ったものといえます。
一方で、同じ学生が「ちょ、バーベキュー聞いてないぞ!」「合宿の話日程が違うぜ」と送った例も挙げられています。これらはともに、ぶっきらぼうに用件だけを伝えるメールです。不満や不快感を表明する際には、あえて絵文字を使っていないことがわかります。
これは「絵文字という共通の符号、仲間意識を表す符号を回避することによって、相手との心理的距離を広げることをねらったもの」であると説明されています。腹を立てたときに急に絵文字がなくなるというのは、実は私もたまにやってしまうので、非常に共感できる指摘です(笑)。
参考
東照二(2009)『人を惹きつける「ことば戦略」 ことばのスイッチを切り替えろ! 』. 研究社.
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[コード・スイッチング]