#254 読者ではなく消費者
三省堂で購入した稲田豊史さんの著書『本を読めなくなった人たち』を読了しました。
その中で、自分が日頃迷っていた「聞き手・読み手の位置づけ」について、非常に納得させられる整理があったのでご紹介します。これは、著者が2022年に刊行して話題となった『映画を早送りで観る人たち』ですでに言及されている分類なのだそうですが、映像作品に向き合う人を以下の2種類に分けて定義しています。
まずは「鑑賞者」です。彼らはタイパやコスパなどを気にせず、作品そのものに触れ、味わい、没頭することに喜びを感じる人々を指します。対して「消費者」は、トレンドの把握や他者とのコミュニケーションを主な目的としており、効率的に情報を得るために倍速視聴などを多用する人々を指します。
本書ではこの考え方を「本に向き合う人」にも応用し、以下のように整理しています。
読者: 濃密で深遠な知的体験や没頭を求める。能動的でスロー思考であり、作品特有の「おもしろみ」を追求する。
消費者: 設定した目的を効率的に達成することを求める。受動的でファスト思考であり、コスパや即座に納得できる「わかりみ」を追求する。
これは、私が分析対象としている企業のメッセージを受け取るオーディエンスを考える際にも、常に意識しておかなければならない視点だと強く感じました。
参考
稲田豊史 (2026).『本を読めなくなった人たち:コスパとテキストメディアをめぐる現在形』中央公論新社(中公新書ラクレ)
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