#252 広告に見られる異化
広告の表現手法において、岡野・浅川(2003)は「異化作用」や「異化表現」の応用について触れています。この異化という概念は、文学や絵画などの芸術分野でも広く用いられているものです。
「異化」とは、習慣化して見慣れたものになってしまった言葉や形式を、新しい文脈に置いたり、新しく造語を行ったり、あるいは忘れ去られていた言葉を再登用したりすることを指します。そうすることで、作品の言葉や形式をあえて「見慣れないもの」や「新奇なもの」へと変容させる効果があります。
また、池上(2002)においても、消費者の注意を惹くためには他との差異が必要であり、そのために異化の概念が有効であると指摘されています。
さらに、岡野・浅川(2003)では、星野(1984)がヤコブソンの分類に従って広告表現における異化作用を分類した事例が紹介されています。これらはすべて、受け手を非日常の世界へと導くための手法であり、具体的には以下のような分類が挙げられます。
まず、論理的に矛盾する要素を組み合わせる「矛盾法」、現在の世界を過去や未来に置き換える「時間的転用法」、そして異質の空間を現在に転用する「空間的転用法」があります。また、日常では見られない不思議なものをあえて用いる「異形」や、対象の要素を異常に大きく見せる「誇張法」、比喩を用いる「隠喩(メタファー)」、さらには地方語や古語、外国語などを用いる「異語」といった手法も存在します。
実際の広告においては、これらの手法が単独ではなく、複合的に用いられることが多いのが特徴です。
参考
星野克美(1984).文化意識と広告表現.星野克美(編)『牛・タコ・さっちゃん』宣伝会議.
池上嘉彦(2002).『自然と文化の記号論』放送大学教育振興会.
岡野雅雄・浅川雅美(2003).記号論による広告表現分析―ビールとウィスキーのCMの場合―.『言語と文化』15, 1-18.
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[異化] [メタファー] [広告]