#249 言語景観
交通広告を面白いなと考えて色々目を通している中で、「言語景観(Linguistic Landscape)」の分析などが目に留まったので、平松(2019)を参考にまとめてみます。
言語景観研究は、社会言語学者の Landry and Bourhis (1997) の『Linguistic Landscape and Ethnolinguistic Vitality』が知られています。道路標識、広告看板、店舗名などにみられる書き言葉のことを指し、道路標識や地名標識などの「公的表示」と、店舗名や広告などの「私的表示」に分けられるそうです(バックハウス、2005)。
平松の研究は、外国人観光客が観光地を訪問する際に目にする外国語表記の現状を、英語を中心に、日光駅から神橋の沿道を対象にしています。
先行研究として、言語景観がどのような関連で研究されてきたのかがいくつか挙げられており、たとえば、政府の施策との関係で、多言語化を推進するか、あるいは他民族国家としてそれが問題視されている場合に制限されているのか、などの「言語権」の中で論じられたりしています。
そこで触れられていて印象に残るのは、「公共に掲示された言語はその地域での市民権を得たと認識される」というフレーズです。
日本の事例としては、コリアン集住地域が近年までハングルで表記されなかったという指摘(金 2009)や、オリンピックを控えて積極的に外国語表記が使用される傾向があることなどが挙げられています。
参考
金美善 (2009).「言語景観における移民言語のあらわれかた:コリアンコミュニティの言語変容を事例に」庄司博史・ペーター・バックハウス・フロリアン・クルマス編『日本の言語景観』三元社, pp.167-205.
バックハウス・ペーター (2005).「日本の多言語景観」真田信治・庄司博史編『辞典 日本の多言語社会』岩波書店, p.53.
平松裕子 (2019).「日光の言語景観とインバウンド観光客のインタラクション:文化と伝統を超えて」『日本認知科学会第36回大会発表論文集』pp.1047-1051.
Landry, R., & Bourhis, R. Y. (1997). Linguistic Landscape and Ethnolinguistic Vitality: An Empirical Study. Journal of Language and Social Psychology, 16(1), 23-49.
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