#242 まるで映画のように語る(2)
前回の続きとなりますが、トランプ大統領による「映画のような語り」はまだまだ続きます。実際のスピーチを確認していくと、戦争映画やアクション映画でおなじみの決まり文句のようなフレーズが随所に確認されました。
12:32 we leave no American behind. We don't do it.
(我々はアメリカ人を一人も置き去りにはしない。決してそんなことはしません。)
この「We leave no man behind」という言葉は、数々の戦争映画でテーマとして扱われる象徴的なセリフのようです。
また、絶望的な状況から救出に向かう際の強い決意も、非常にドラマチックに表現されています。
21:53 We have incredibly talented people and if the time comes,
21:57 we move heaven and earth to bring them home safely.
(我々には非常に優秀な人材が揃っており、もしその時が来れば、彼らを無事に帰還させるために天地をも動かす(あらゆる手を尽くす)覚悟です。)
さらに、聴衆の頭の中に映像を浮かび上がらせるような、演出的な描写も目立ちます。
12:54 And in broad daylight over Iran for seven hours,
12:57 at times facing very, very heavy enemy fire --
13:01 we have a helicopter that's got a lot of bullets in it.
(そしてイラン上空で白昼堂々7時間、時には非常に激しい敵の攻撃に直面しながら――我々のヘリコプターには大量の弾丸が撃ち込まれていました。)
また、劣悪な環境のなかで飛行機が着陸してくる場面では、「Boom(ドカン)」という擬音を使い、魔法のように奇跡が起きたのだと語っています。
26:15 I hope that one can land and take off
26:18 and they came in like magic, boom,
26:20 boom, boom, one after another it was like genius
(一機でも着陸して離陸できれば、と願っていたところ、彼らは魔法のように次々とやってきました。ドカン、ドカン、ドカンと、まるで天才の仕業のようでした。)
このように、この演説は単なる事実の報告というよりも、「不可能と思われたミッションを、天才的な技術と勇気で完遂したヒーロー物語」のような構成になっています。しかし、実際には人々の生死に関わる極めてリアルで深刻な軍事問題です。それを映画のストーリーのように描き出す手法は、受け手によっては事態の重さを見誤らせる危険を孕んでいると感じます。
ただ、私が目にした限りの報道では、こうした「映画仕立ての語り」は批判的に扱われていたものが多かったように思います。
参考
演説:https://www.youtube.com/live/xFO-SY9ykdA?si=iFyFBzAL-iACPLwj
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