#235 オーディエンスの種類
Ede and Lunsford (1984) では、オーディエンスを2種類に分けて論じられているのが印象的です。それは「実際の聴衆(Audience Addressed)」と、書き手や話し手によって「喚起される聴衆(Audience Invoked)」です。
それぞれの定義として、まず「呼びかけられた聴衆」は、実在する外部の読者を指し、書き手は彼らの属性やニーズを分析して内容を適応させる必要があります。一方で「喚起された聴衆」とは、書き手の想像力によってテキストの中に作り出された「架空の存在」を指します。
とくに喚起される聴衆に関して下支えになっているのは、ルッセル・ロングやウォルター・オングの言葉です。彼らは "The Writer's Audience Is Always a Fiction"、つまり聴衆とは書き手が想像によって作り上げるものであるという観点を示しています。ここでの考え方として、書き手の役割は、単に読者を分析して合わせるのではなく、言語的・構文的なリソースを駆使して「読者にどのような役割を演じてほしいか」という手がかりを提示することにあります。そして読者の役割は、書き手が設定した「架空の聴衆」というゲームのルールを理解し、その役割を自ら引き受けてテキストに応答することです。
ただ、もちろん実在の読者の分析も重要であり、呼びかけられた聴衆(Addressed Audience)への配慮を欠かすことはできません。最終的にこの節は、「聴衆は書き手によって動機づけられる(Addressed)」という側面と、「聴衆は書き手によって創造される(Invoked)」という側面の両方を見ることが不可欠である、と締めくくっています。
参考
Ede, L., & Lunsford, A. (1984). Audience addressed/audience invoked: The role of audience in composition theory and pedagogy. College Composition & Communication, 35(2), 155-171.
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[オーディエンス]