#231 花見で花見ず
本日はお花見をしてきました。お花見と言えば、ふと思い出したのが「提喩(シネクドキ)」という概念です。ちょうどメンバーの間でも、そんな話題になりました。
『認知言語学キーワード事典』によれば、比喩は次のように説明されています。
「比喩(転用語)とは、(あることを言いあらわすさい)本来別のことをあらわす語を転用することをいう。」
そして、その中でも提喩とは、
「(a)類をあらわす語を、その類に属する種に転用すること、(b)種をあらわす語を、類に転用すること」
とあります。
つまり、「花見」は(a)に該当します。「花を見る」と言いつつ、実際に私たちが見ているのはふつう「桜」という特定の一種です。類(花=上位概念)を用いて、種(桜=下位概念)を表現しているわけです。
ところが、いざ宴が始まると、ふと自分たちが「桜」をほとんど見ていないことに気づきました。「結局全然桜見てないじゃん」なんて会話もしました。
私たちが「桜見」とは言わない理由が、ここにある気がしてきます。「桜」という種を限定する言葉を避け、あえて「花」という抽象的な言葉を使うことで、そこには「桜を鑑賞すること」以外の目的が含まれる余地が生まれているのかもしれません。
さらには、「花見に行こう」という誘いも、もはや花そのものへの関心ではなく、それに隣接する行為、すなわち「友人に会うこと」「語らうこと」「飲んだり食べたりすること」、を指す言葉になってきている気がします。これは言語学でいうところの「換喩(メトニミー)」と言えるのかもしれません。
そんな、花より団子な本日の"花見"の写真をアップしておきます。
参考
辻幸夫編. (2013)『新編 認知言語学キーワード事典』.研究社.
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[シネクドキ]