#208 審判のコミュニケーション
フットサル審判員の合意形成のやりとりについての発表(多々良先生の「スポーツ談話研究の新展開」の中の望月雄介先生の発表「試合中におけるフットサル審判員の言語行動」)を聴きました。予稿集によれば、フットサル審判員には、選手の行為を認識する認知力、ファウルに対する的確な判定力、チームの戦術を読む能力、選手の安全性を確保しながら試合を進めるゲームコントロール能力、さらに選手とコミュニケーションを取りながらフットサルという競技を最大限に引き出すためのマネジメント能力などが求められるとのことでした。
フットサルは、小さなピッチとボールを用いる競技であり、展開もかなりスピーディーです。加えて、選手同士の身体的接触も激しいため、審判同士のやりとりの速さには聞いていて驚かされました。主審、第二審判、第三審判のコミュニケーションでは、合意形成の場面において、確認や同意のための繰り返し、そして間髪のない話者交替がとても印象的でした。
発表では、こうしたやりとりが実際の合意形成の場面にも活用できる可能性があることも示されていましたが、特にスピード感と、相手への共感や理解を示すうえでの繰り返しは重要なのではないかと感じました。一方で、審判は選手や観客の意見も含めて意識しながら判断しなければならないという点で、一般的な合意形成とは異なる側面もあるとのことでした。それでも、外からの目を強く意識する必要のある昨今においては、とても重要な示唆を含む結果だと思います。こちらについては、今後ほかの研究とも合わせながら、さらに考えてみたいと思いました。
参考
望月雄介 (2026) 社会言語科学会第50回大会. 「試合中におけるフットサル審判員の言語行動」
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[スポーツ談話]