#185 実践的コミュニケーション
リフレーミングについて、岡本(2013)を読みました。
冒頭ではまず、他者への行動変容を促すような、直接的・間接的な働きかけとしての実践的コミュニケーション・ストラテジーは、従来の言語学や会話分析、インタラクション研究においては、やや忌避される傾向があったことが指摘されています。ありのままのコミュニケーションの実態を分析することこそが純粋な研究である、という立場からすれば、意図的に相手の行動や認知に働きかける「技法」を扱うことには慎重にならざるを得なかった、というわけです。
そのような背景をふまえたうえで、この論文では、他者の行動、さらには認知を変容させる「仕掛け」のメカニズムがどのように成り立っているのかが、多角的に検討されています。
その仕掛けの一つとして紹介されているリフレーミングについては、提唱者であるWatzlawickの定義が紹介されています。それによれば、リフレーミングとは「ある具体的な状況に対する概念的かつ感情的、あるいは概念的または感情的な構えや見方を変化させることであり、同じ状況下の『事実』の意味を規定する古い枠組みに代えて、それよりも良い、もしくは同等のほかの枠組みを与えて全体の意味を変えてしまうこと」とされます。
つまり、出来事そのものを変えるのではなく、その出来事をどう位置づけ、どのような枠組みで意味づけるのかを変えることによって、全体の意味を組み替えるという発想です。
実際にリフレーミング技法がどのように用いられているのかについては、次の記事で紹介したいと思います。
参考
Watzlawick, P., Weakland, J. H., & Fisch, R. (1974). Change: Principles of Problem Formation and Problem Resolution. W. W. Norton & Company.(邦訳:ワツラウィック,P.・ウィークランド,J. H.・フィッシュ,R.(著),長谷川啓三(訳)(1992)『変化の原理――問題の形成と解決』法政大学出版局)
岡本雅史(2013)「コミュニケーションの仕掛け:認知と行動の変容を促す多重のストラテジー」『人工知能』28(4), 607–614.
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