#176 副詞の引き出し
石黒(2023)は「第7章 副詞と印象」において、副詞を選ぶうえで何より大切なのは、文脈に合った言葉をあきらめずに探すという姿勢であると述べています。そして、副詞の引き出しを増やすことが、適切な副詞を考えることにつながるとして、多くの副詞の体系化を試みています。
その中で、特に面白いと感じたのが、類義の副詞の使い分けにおける「一」のつく副詞の活用です。「一」を含む副詞は意外に多く、「瞬く間に」は「一気に」、「同時に」は「一斉に」、「まったく」は「一切」などと言い換えることができます。ほかにも、「一応」「一時」「一層」「一体」「一番」「一部」「一面」「一途に」「一度に」「一様に」など、さまざまな例が挙げられています。
さらに、「ぜんぜん」や「まったく」の代わりとして、文脈に応じて「一」の後ろに来る単位を変える副詞の使い方も紹介されています。たとえば、「お酒をぜんぜん飲んでいない」であれば「一滴も飲んでいない」、「足がぜんぜん動かなかった」は「一歩も動かなかった」、「時間をまったく無駄にできない」は「一秒も無駄にできない」、「まったく残さずきれいに食べた」は「一粒も残さずきれいに食べた」と言い換えることができます。
自分の副詞の選択が少し単調になってきたと感じたとき、「一」を使った副詞を考えてみる、というのはかなり有効な方法だと思いました。
参考
石黒 圭(2023)『コミュ力は「副詞」で決まる』光文社新書(1253)
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