#172 一日をどう振り返るか
ホームステイをしていたときや、英語話者の人といい感じでテキストのやりとりをしていたときに、実は少し苦手だと感じていた質問があります。それが、「How was your day?(今日どんな一日だった?)」という問いでした。何をどう答えたらいいのだろう、と考えてしまい、その一言にちょっとしたストレスを感じることさえありました。
渡辺(2004)の『納得の構造』では、この問いに関わる興味深い実験が紹介されています。四コマ漫画――①夜にテレビゲームをする少年、②朝、野球のユニフォーム姿で走っている、③バスを間違えてしまう、④野球の試合でベンチに座っている――を見せ、「その日がどんな日だったか」を自由に説明してもらうという課題を、日本とアメリカで行ったものです。
その結果、出来事を起こった順番に並べていく「時系列連鎖型」の説明は日米両国で多く見られました。ただし、内容にははっきりとした違いがあったそうです。日本の児童の93%が出来事を起きた順に並べて書いたのに対し、アメリカでは34%の児童が、「主人公にとってどんな一日だったか」という一日の総括から書き始めていました。
つまり、日本語の説明は「時系列連鎖型(時系列)」に集約されやすい一方で、英語では「時系列連鎖」だけでなく、最初に評価やまとめを置く「遡及混合型(因果律)」も見られる、ということになります。
たしかに振り返ってみると、私自身が昔書いていた日記も、「朝にこういうことがあって、その次に〜があって……」というように、出来事を順番にたどる書き方ばかりだったように思います。一方、英語の回答例を見てみると、
“My opinion on John’s day is that he had a frustrating day from the beginning of the day to the end of the day …”
といった具合に、最初にその一日をどう評価するかが示されています。
そう考えると、「How was your day?」にどう答えればいいのか分からず戸惑っていた当時の自分にも、少し納得がいく気がします。
皆さんの一日は、どんな一日でしたか。
参考
渡辺雅子(2004)『納得の構造――日米初等教育に見る思考表現のスタイル』東洋館出版社.
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