#170 占いのことば
本屋に行くと、ついゲッターズ飯田の本を立ち読みしてしまいます。占いに書かれている前向きな言葉の数々に、恥ずかしながら励まされることがあります。そして、そこに書かれている「良いこと」を、現実のものにしようと背中を押されているような気持ちになることもあります。
堀田(2020)では、「あなたは幸運な星の下に生まれている。だから一生懸命がんばればうまくいく」といった、占い師がよく使う言い回しについて触れられています。これは、誰にでも当てはまるようなことを言い、それを「自分のための言葉」だと受け手に思わせてしまう心理的な作用で、「バーナム効果」と呼ばれるものだそうです。
本の中では、心理学者バートラム・フォアが行った実験も紹介されています。学生に心理テストを実施し、個人ごとの診断結果のように見せかけながら、実際には全員に同じ内容の結果を渡したという実験です。たとえば、「あなたの性格には欠点があるが、普段はそれをうまくコントロールしている」といった、ごく一般的な記述です。それにもかかわらず、多くの学生はその分析が自分に当てはまっていると信じ、分析を行った人を信頼し、内容が自分にとって好都合であるほど「正確だ」と感じてしまったといいます。結果として、ほとんどの学生がその分析を正しいものだと思い込んでしまったそうです。
このバーナム効果は、人を鼓舞するときにも使えるものとして、本の中では発展的に紹介されていますが、それを読んでたしかにそうだなと感じました。というのも、私はときどき神社などでお祈りをするときに、意識的にこのバーナム効果らしきものを自分で引き出そうとしていることがあるなと思ったからです。
かなり下心ありきではあるのですが、賽銭という対価を払い、自分で「自分ががんばっている部分」を言葉にします(お金を払って神に聞いてもらい既成事実化する感じです)。先ほどの占いと違って、誰にでも当てはまる話というよりも、自分の過去の行いによって特定化されている分、安心感もあります。そのうえで、「うまくいく」と結果を断定するわけでもなく、ただ神頼みをするように「うまくいくようにしてください」と願うのでもなく、謙虚な姿勢で「うまくいくようにするので見守っていてください」と心の中で言語化します。そうして言葉にすることで、自分を少しポジティブに勘違いさせ、前向きに鼓舞しているのだと思います。
参考
堀田秀吾(2020)『「勘違い」を科学的に使えば武器になる――正しい話し方よりも納得される伝え方』秀和システム.
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