#162 変種と配役
小山(2017)の「何を標準語とするか」という記述を読んでいて、とても印象に残った点があります。そこでは、イギリス英語の標準語は、階級や経済と強く結びつきながら形成・再形成されてきた傾向がある一方で、アメリカ英語の標準語は、階級や経済に加えて、人種ともかなり露骨に結びついていることが指摘されています。
とくにアメリカ英語における人種論的な社会言語学的様態は、ハリウッド映画やディズニー映画における英語の使われ方に分かりやすく表れるとされています。たとえば『三匹の子豚』に登場するオオカミは、正統派ユダヤ教徒を想起させる服装をしており、イディッシュ訛りの英語を話す存在として描かれています。
一方で、イギリス英語の場合は少し事情が異なります。『ライオンキング』や『ターザン』などでは、標準変種とされるRP(容認発音)が、しばしば悪役に割り当てられているそうです。これは、RPが上層階級の「傲慢さ」や「排他性」といった否定的な特性と結びついて捉えられていることに起因すると指摘されています(Mugglestone 2003)。
こうした映画の中での役柄と英語変種の関係について、何か分かりやすくまとまった動画はないかなと思い、いろいろ探してみました。すると、ちょうど面白い動画を見つけました。冒頭では、ハリウッド映画において、悪役をイギリス英語が担うことが多い、という指摘が紹介されています。
参考
小山 亘(2017)「第7章 社会語用論」『社会言語学』井上 逸兵(編)朝倉書店.
Mugglestone, L. (2003). Talking proper: The rise of accent as social symbol. OUP Oxford.
https://youtu.be/d1jhWizYuFw?si=8Jv65jfb6JEl6i8u