#150 相手のためのことば選び
前回、東(2009)で取り上げたフォーリナートークについて、橋内(1999)では、第14章のアコモデーション理論の章で言及されています。該当箇所には、次のように書かれています。
「相手に合わせてものを言うということは、相手の使う特定個別の言語(code)で応じるだけで済むわけではない。相手がその言語に熟達していない場合には、その人の言語能力に限りがあることをわきまえた上で、うまく分かり合えるようことば遣い(use)に工夫を加えなければならないのである。(p.119)」
橋内は、その例として、養育者が乳幼児に向けて用いる caretaker talk、教育者が児童や生徒に向けて用いる teacher talk、そして母語話者が非母語話者に用いる foreigner talk を挙げています。これらはいずれも、相手の言語能力に限りがあることを踏まえて用いられる点で共通しており、「簡略化された言語(simplified register)」が使用されると説明されています。
参考
東照二. (2009). 社会言語学入門<改訂版>: 生きた言葉のおもしろさに迫る. 研究社.
橋内 武(1999)『ディスコース――談話の織りなす世界』くろしお出版.
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[アコモデーション理論] [フォーリナートーク] [簡略化された言語]