#37 がんばれもいろいろ
本日、これから少し頑張らなければならないことがあるので、その話題をしたいと思います。
出典が曖昧で申し訳ないのですが、おそらく『STEP英語情報』の連載「ここが知りたかった!英語コミュニケーションの道しるべ」で、日本女子大学英文学科の卒業論文の内容が紹介されていたものだと思います。その第4回では、「がんばって!」を英語でどのように表現するかが分析されていました。
アメリカ映画の日本語訳から「がんばって」に対応する表現を抽出し、60個の英語表現を分類したものなのですが、最も多かったのは「分類できないその他」で、全体の半分を占めていました(それだけ一つひとつ異なる表現が割り当てられていたということです)。残りの半分は大きく3つのパターンに分かれていて、luckタイプ、come onタイプ、keepタイプです。
luckタイプには good luck, lots of luck, wish you luck, good luck ~ing, best of luck on ~ があり、keepタイプには keep it up, keep ~ing, keep on ~ing, keep up ~ing などがあります。その他の例としては、試合観戦の場面での kill him, you got this guy、友人との別れ際の come back safe などが挙げられています。
さらに、使用状況を①スポーツ、②仕事、③勉強、④試験、⑤別離に分けて分析したところ、日本語の「がんばって」のようにすべての状況で使えるのは luckタイプ(ただし競技中ではなく開始前に限る)で、come on はスポーツ、keepタイプは勉強といった具合に限定されていました。つまり、日本語の「がんばって」とまったく同じ働きを持つ英語表現はなく、状況ごとに異なる言い方が使われるという結論です。
また井上(2021)は、日本語の「がんばってね」について、スポーツなどではなく日常会話で "Do your best!" を使うのは、相手の「独立」領域に踏み込むことになり、ポライトネスの観点からプレッシャーを与える可能性があると指摘しています。たしかに「もうすでに頑張ってるし!頑張ってるのは自分だし!」と思うこともしばしば…。
そこで井上は、プレッシャーを与えない英語の「がんばれ」として I'm rooting for you. や I'm pulling for you. を挙げています。これらは自分が主語になっていて、「私がしていることであって、あなたに何かせよと言っているわけではない」ため、相手に負担をかけない表現です(ただ少し無責任な感じもすると書かれていて、相手との親密度によって使い分けが必要かもしれません)。もう少し話し手が責任を引き受けるようなニュアンスを持つ表現としては、I'll stand by you. も紹介されています。
今日の私の頑張りも結局は私次第なのですが、"I'm rooting for you." と言われればやっぱり嬉しいですし、でもちょっと寂しい気持ちもします。ときにはスポーツ根性を叩き込むように "Do your best!" と言ってもらうのも悪くないのかもしれません。
参考
井上逸兵 (2021) 『英語の思考法 ――話すための文法・文化レッスン』ちくま新書.
日本女子大学英文学科井出ゼミ (1999) 「ここが知りたかった!英語コミュニケーションの道しるべ 第4回 がんばって!~英語でどう表現するか~」『STEP 英語情報』99', pp. 34–37.
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