#117 2拍で落とす?
腰痛が続いており、最近はリハビリに通っています。そこで理学療法士の先生とお話ししていたところ、先生が M!LK という男性アイドルグループのファンで、しかもその楽曲の中に「好きすぎて滅!」というタイトルの曲があることを知りました。
私自身、「草」は「〜すぎて(で)草」(=自分の想定と現実のマイナスの乖離が大きく、呆れ笑うニュアンス)という形で使われることが多いこと、また「死ぬwww」という表現がセットで用いられやすいことを、データから読み取れる傾向として最近の発表でも紹介したばかりでした。
そんな中、ネット記事で「しぬしぬ界隈」というミームの存在を知りました。記事によると、TikTok の読み上げ(TTS)機能に、若者言葉として定着してきた誇張表現「〇〇すぎて死ぬ」のノリが合体して生まれたと言われています。この界隈では、「好き・尊い・笑いすぎといった高ぶった感情を大げさに言い表す日本語ネット文化」が特徴的で、「短尺動画と相性の良いリズムの効いた語尾」がネタとして自立したとも説明されていました。
個人的に面白かったのは、自分の分析ではまったく考えていなかった読み上げ機能の影響です。誰でも同じ声質・抑揚を再現できるからこそ一つのジャンルとして認識されやすいこと、「日常の小事件を三段落ちで積み上げ、最後に『しぬ!』で落とすだけでショートコントが成立する」という指摘など、今後ぜひ先行研究を調べてみたい点が多くありました。
さらに、文字のミーム(模倣を通じた情報やアイデアの拡散)から、音のミームへ移行しつつあるという視点も非常に興味深いところです。
そして冒頭の「好きすぎて滅!」ですが、「〇〇すぎて死ぬ」が広く浸透した結果、さらに程度をずらす形で「死ぬ → 滅(ぶ)」というレベル上げが起こった可能性も考えられます。そもそも「滅」は単独で用いられる語ではなく(例:壊滅・幻滅・死滅・絶滅など)、その点からも「〇〇すぎて<名詞:2拍>」という一定のパターン性がうかがえるように思います。
これらはまだ考え始めた段階のものばかりなので、今後さらに検討していきたい点としてここに記しておきたいと思います。
参考
https://slangverse.jp/sinusinu-kaiwai-original-source/
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[笑い表現] [模倣] [ミーム] [デジタルコミュニケーション]