#86 逆から始める
昨日の授業で、エリン・メイヤーの『異文化理解力』を紹介していたとき、以前からどこで読んだのだったかな・・・と気になっていた事例に再会しました。
メイヤーは、西洋人とアジア人の思考の違いを文化理論の観点から取り上げ、西洋の「特定的」思考と、中国の「包括的」思考を対比しています。西洋の哲学や宗教では、ある事物を環境から切り離して個別に分析するという考え方が根付いています。一方で、中国の宗教や哲学は「相互のつながりや関わり合いに重きを置く」ものであり、古くから「場が行動に影響を与える」と信じられてきたと述べています。
続く章では、同じ出来事を説明する際の文化的な違いについて、実験参加者の会話を引用しながら描いています。
「中国人はマクロからミクロへと考えるが、西洋人はミクロからマクロへと考える。たとえば、住所を書くときも、中国人は省、市、区、地名、番地の順で書くが、西洋人はその逆で、家の番地から始めて市や州へと続けていく。同様に、中国人は名字を先に書き、西洋人は名前を先に書く。日付の書き方も同じく、中国人は年・月・日だが、西洋人は日・月・年の順で書く。」
この部分を読んで、かつて「比較文化」の授業で出された課題を思い出しました。日英それぞれの履歴書の書き方を比較するというもので、当時、名前の順番の違いは知っていたものの、住所を書く順番、さらに学歴や職歴を並べる順序の違い(日本語は過去→現在、英語は現在→過去)を知ったときはかなりの衝撃を受けました。
英語の文法的特徴(たとえば否定語や動詞といった内容の核が前に来る構造や、結論を先に述べる論理展開)とも類似していて、腑に落ちた気持ちになったのを今でも覚えています。
思いがけない再会に嬉しい気持ちになりました。
参考
エリン・メイヤー(著)・田岡恵(監訳)・樋口武志(訳)(2015)『異文化理解力―相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』英治出版
keywords
[異文化コミュニケーション]