第3回

大規模電磁界数値解析手法に関する研究シンポジウム

(LSCEM2020)

目的:

回転機やMRIなど電気機器・電子デバイスの開発設計,携帯電話や医療機器における生体電磁環境問題など,電磁場解析の需要が高まっています.特に,有限要素法やFDTD法を用いた数値シミュレーションが学術研究や設計現場において活用されています.本シンポジウムは,計算電磁気学の学術研究や産業応用を推進することを目的とし,高性能計算,電気機器解析,計算科学など様々な分野の研究者が集まり,将来に向けて計算電磁気学に関連する解決すべき諸問題について討論するものです.

本シンポジウムは,科研費研究「並列連成解析手法による高精度な温熱療法シミュレーションの実現」(研究代表者:武居周),および科研費研究「電磁場解析のエクストリームスケール・コンピューティングを実現する高速数値解法開発」(研究代表者:荻野正雄)の研究成果報告を兼ねています.

日時:中止いたしました(2020年6月29日)

2020年3月21日(土)~22日(日)

コロナ禍により延期いたしました(2020年2月27日)

会場:

グランドサンピア八戸 2階 白神の間

(青森県八戸市東白山台1-1-1 )

参加費:

無料

プログラム:

3月21日(土)

13:30-13:35 「開会の挨拶」 杉本振一郎(八戸工業大学)


セッション1 座長:杉本振一郎(八戸工業大学)

13:35-14:25 基調講演「石炭ガス化炉のマルチフィジクス・スーパーシミュレーション

吉村忍(東京大学)

流体構造連成(Fluid Structure Interaction : FSI)現象は,流体と構造が相互作用し合う現象である.多くの研究者らが精度向上,問題規模の拡大,安定性,ロバスト性,効率の向上を目指して,FSI数値解析法に関する研究開発を行ってきており,大きな進展を遂げてきた.しかし,依然として,現実世界の複雑な形状を有する機械や構造物の連成解析をターゲットに,計算時間の短縮,問題規模のさらなる拡大,多様な連成解析の汎用的な解析を目指した研究開発に対する強い要望がある.筆者らは,多様な並列計算機環境において,実機の大規模連成解析を行うための,効率的でロバストな解析システムの研究開発を進めている.本講演では,はじめに,並列分離反復解法と解析システムに関して紹介し,その後に,ラボスケール石炭ガス化炉への適用事例を紹介する.


休憩


セッション2 座長:武居周(宮崎大学)

14:40-15:10 招待講演「FDTD法データフローマシンのFPGA実装と動作確認

川口秀樹(室蘭工業大学)

(共同研究者:倉田康平(室蘭工業大学))

ハイパフォーマンスコンピューティング技術の1つの形態として,マイクロ波シミュレーションをターゲットとした専用計算機の開発研究を行ってきた.これまで,データフローアーキテクチャに基づいて,FDTD法を高速計算するための計算機システムを提案し,VHDLによる論理回路設計および回路シミュレーションによる実現可能性を検討した.本研究では,これらをベースにFPGAボードを用いた実機実装と動作確認を行ったので報告する.


15:10-15:40 招待講演「電磁界解析技術を用いたアンテナ開発における最適化設計と性能評価 」

伊藤圭一(秋田工業高等専門学校)

アンテナ設計に遺伝的アルゴリズムなど最適化手法を取り入れた研究事例を報告する.特にアンテナ用レンズのトポロジー最適化を用いた形状設計,ミリ波アンテナの設計とその応用に関する数値解析について報告する予定である.


15:40-16:10 招待講演「非線形静磁場解析におけるニュートンラフソン法の高速解法に関する検討 」

渡邊浩太(室蘭工業大学)

モータ等の電磁機器の電磁界解析においては,電磁材料のB-H特性の飽和特性により非線形有限要素解析が必要となる.通常,不完全コレスキー分解を前処理とした共役勾配法が用いられるが,より高速な解法を検討したので報告する.


小休憩


16:20-17:10 記念講演「人工知能技術を用いた電気機器設計ー進展と課題 」

五十嵐一(北海道大学)

(共同研究者:大友佳嗣,比留間真吾 (北海道大学))

技術交流会:

日時:3月21日(土) 18:00-20:00

場所:グランドサンピア八戸 2階 寿の間

※ 技術交流会終了後,研究討論会を23:00まで実施致します.

3月22日(日)

セッション3 座長:田上大助(九州大学)

09:00-09:30 「BDD-DIAGとdiagの関連性について」

金山寛(九州大学)

静磁場の領域分割解析用前処理として提案してきたBDD-DIAGと従来の簡易対角スケーリング前処理diagのPCG法の反復回数が似たようなものになることの一つの理論的裏付けが得られたので報告する.


09:30-10:00 「4倍精度実装へのハイパフォーマンスデザインパターンの適用」

河合浩志(東洋大学)

電磁場解析をはじめ近年の大規模数値シミュレーションにはHPC環境の利用が不可欠となっているが,ハードウェアアーキテクチャの複雑化に伴いその効率的な実装はますます困難になりつつある.本発表では近年電磁場解析において高精度解析のために必要となりつつある4倍精度演算の高速実装のために,これにハイパフォーマンスデザインパターンを導入した場合について説明する.


10:00-10:45 「高周波電磁場問題に対する高精度演算を用いた効率的な反復法の実装方法に関する研究」

桝井晃基 (名古屋大学)

高周波電磁場問題向けの反復法において,高精度演算の適用や前処理・ソルバ・フィルインの有無などの選択をしたときの性能評価を行い,その結果について報告する.


休憩


セッション4 座長:荻野正雄(大同大学)

11:00-11:30 「企業における大規模電磁界解析の活用事例と今後の期待」

村山敏夫(ソニーGM&O)


11:30-12:00 「複素対称線形方程式に対する近似逆行列前処理について」

曽我部知広(名古屋大学)

電磁場解析では,大規模な複素対称線形方程式を効率よく解く必要がある.そこで本発表では,複素対称線形方程式の解法であるクリロフ部分空間法の高速化を目指した近似逆行列前処理について述べる.


12:00-12:30 「疎空間に仮想要素を用いたBDDの数値解析」

田上大助(九州大学)

電磁場問題に対する反復型領域分割法の前処理としてBDDを適用することを念頭に,疎空間に仮想要素を用いた場合の数値解析についての結果を紹介する.


12:30-12:50 総括講演「高周波電磁界解析コードADVENTURE_FullWave,波動音響解析コードADVENTURE_Sound~科研費・基盤研究(B)の成果報告」

武居周(宮崎大学)

科研費・基盤研究(B)の研究が2017年度からスタートし,今年度で終了となる.その間に開発した解析コードとして,階層型領域分割法に基づく並列高周波電磁界解析コードADVENTURE_FullWaveと,並列波動音響解析コードADVENTURE_Soundを東京大学ADVENTURE Projectよりリリースすることが出来た.講演では,これらに関するいくつかの研究業績を紹介し,成果を概観した上で,今後の展望について述べる.


12:50-12:55 「閉会の挨拶」 荻野正雄(大同大学)

実行委員会:

    • 杉本振一郎(八戸工業大学) ※ 実行委員長

    • 武居周(宮崎大学)

    • 荻野正雄(大同大学)