本研究室では、原子核・ハドロンを中心に、量子系のダイナミクスの理解を目指した研究を行っています。原子核は陽子と中性子というたった2種類の粒子からできている系ですが、その振る舞いは実に多様です。陽子・中性子が原子中の電子のように振る舞うこともあれば、それらが協同して原子核全体を変形・振動・回転させることもあります。原子核の様々な貌(=量子多体系の性質)を、核反応というダイナミカルな現象を用いて解き明かすことが、本研究室の中心課題のひとつです。特に、反応の過程で原子核(系)が時々刻々とその姿を変える様を精緻に描き出す技術の高さに定評があります。九大物理の実験核物理グループのみならず、大阪大学核物理研究センターや理化学研究所仁科加速器科学研究センターといった実験施設に在籍する研究者と数多くの共同研究を展開し、原子核の全貌解明に向けた取り組みを進めています。
また広く捉えると、本研究室の研究対象は「原子核の変化を伴う全現象」であるといえます。たとえば、宇宙における元素合成過程の記述や放射性廃棄物の消滅処理(核変換)といった研究も、極めて重要な課題です。
も参考にしてください。
前期は、教科書を輪講して、量子力学的散乱理論の基礎を学習します。後期は、前期に得た知識を活かすべく、具体的な研究テーマに取り組みます。テーマは、学生ひとりひとりの興味と、教員から見たときの難易度(達成の可能性)を勘案して設定します。研究には数値計算(Fortran)を使用しますので、平行してその習得に努めてもらう必要があります。
特別研究は週に1回、教員と学生とが集まって、輪講(前期)や進捗報告・議論(後期)を行います。それ以外に拘束時間はありませんが、輪講や報告を滞りなく行うには、それなりの準備が必要です。その意味では、毎週進めるべき“課題”が設定されていて、それを各自が自分のペースで遂行する、というのが特別研究の実態といえるでしょう。