『 かつて発達障害児として感じていたこと・考えていたこと 』
最近、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)という言葉が注目を集めている。1990年代、英語圏の成人自閉スペクトラム症者たちが生みだした言葉で、自閉スペクトラム症(ないし発達障害)の当事者をニューロマイノリティ(脳の少数派)、逆に自閉スペクトラム症(ないし発達障害)のない「定型発達者」をニューロマジョリティ(脳の多数派)と位置づける思考法のことだ。この考え方によって、発達障害者は「障害者」としてではなく、LGBTQ+のような周縁化されたマイノリティとして、フラットに考察する可能性が生まれてくる。
今回の講演では、自閉スペクトラム症およびADHD(注意欠如多動症)と診断された当事者がニューロマイノリティとして学校社会に期待することを語る。発達障害の特性を持った児童は全体の1割にも及ぶという見解がある。そのような当事者のひとりとして、学校社会で体験したことを建設的な仕方で報告できれば幸いだ。
コロナ禍を経た学校でいじめの増加が問題視されています。その内容を検討してみると、それまでの加害者が一転して被害者になるといった「立場の逆転現象」が簡単に起きたり、ネットいじめの加害者に悪意がなくとも被害者が強く苦痛を訴えるケースなどがあり、価値観や解釈の多様化が背景にあることが指摘されています。
本研修では、コロナ後の学校の中で起こっているいじめ事象をいくつか取り上げながら、そうした問題を理解するために多様性をキーワードとして考えてみたいと思います。