本研究大会は、昭和53年の第1回大会より子どもの健やかな育ちに向けた学校教育相談の研究の場として、多くの御支援をいただきながら開催を重ね、今年45回目を迎えます。
現在、世界各所で紛争や戦争が長引き各国の政治情勢の不安定さが増しているだけでなく、日本国内においても地震をはじめとする災害や経済状況の先行きが心配されているところです。私たち大人でさえ身近な生活の未来に不安を感じる中で、知らず知らずのうちに子供たちの心に与えている影響も大きいのではないでしょうか。
日本の学校教育を巡っても、不登校の増加やいじめ問題、若者の自殺率の高さが話題になって何年も経ちます。さらに今日では、発達障害やLGBTQ、外国にルーツを持つ子供等、多様性への理解が広まり合理的配慮についての対応も加速しているとはいえ、まだまだ学校文化の中で多様性・公正性・包摂性(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の視点を共有し、学校全体で多様な生徒に適切な学びを提供できているか疑問を感じることもあります。
このような中、「子どもの心に寄り添い、人とのつながりの中で子どもの成長を支えていきたい」という学校教育相談に携わる私たちの思いを込めて、今回の大会テーマを『多様性を認め合える学校を目指して』といたしました。
全体会では、臨床心理士・公認心理師として教育分野にとどまらず御活躍の村中直人先生に、「ニューロダイバーシティの視点から『合理的配慮』を捉え直す」というテーマでお話しいただきます。人の神経学的な多様性に着目した人間理解や、学び方の多様性について、学校現場に生かせる多くの知見をいただけると思います。
尚、今年度の大会につきましても広域からの御参加にも対応できるよう、オンラインでの参加もお選びいただけます。多くの皆様に御参加いただき、実りある大会となりますよう、どうぞよろしくお願いいたします。