第41回京都学校教育相談研究大会委員長
京都府立清明高等学校 校長
宮村 仁
第41回京都学校教育相談研究大会を開催するにあたり、ご挨拶を申し上げます。平成の30年間を終え、新たな元号の「令和」が発表され、新しい時代を迎えます。時代が変わる中でも、学校現場と関わりの深い「虐待・いじめ・ひきこもり」などの課題は、学校や社会の抱える様々な「こころ」の問題として続いており、より一層深く、厳しいものとなりつつあります。この研究大会においても永年このような話題を取り上げ、様々な研究をされている先生方に講座を担当していただき、研鑽を積み重ねてきました。児童・生徒に関わる現場の先生方が子どもたちに寄り添い、「こころ」の課題に向き合いながら、日々学校教育相談に取り組まれる姿勢に、敬意を表します。
今年の全体講演の松沢哲郎先生は、京都大学で永年チンパンジーの研究をされてきました。現在、京都大学高等研究院特別教授で霊長類研究所兼任教授です。松沢先生の研究は霊長類研究所のチンパンジー「アイ」とその息子「アユム」の心の研究をもとに比較認知科学という分野を開拓され、世界に注目されました。今回お話になる内容は先生の近著「分かちあう心の進化」に著されていることをもとにご講演いただきます。今回の大会テーマである「思いやる 分かちあう 慈しむ」は先生の永年の「こころ」の研究の末にたどりついた心境であるとうかがっています。
「こころ」にアプローチをすることで、学校における教育課題の解決へのヒントが得られ、また疑問等が少しでも明らかになることを願いつつ、今大会がご参加いただく方々にとって、実り多い大会になりますようどうぞよろしくお願いいたします。