2泊3日に行くことができなかったので、塩見白峰の計画を変更して、大門沢から白根三山に行くことになりました。天候が上振れを重ね、最高のコンディションの南アルプスを堪能できました。いつまでもいたくなるような絶景でした。
日程:8/28-30
メンバー:S井(CL)、NCK(SL)、M谷(装備)、T村(食当)
入山まで
8/24-9/1まで日程をとっていた。25の夜にまとまった雨。1日目は大門沢沿いの道なので、渡渉の関係から26入山はできない。27晴れ 28曇時々小雨 29曇時々晴れ 30快晴 31晴れのち雨という予報。稜線にいるのは2,3日目、その中でも間ノ岳、北岳の天空の縦走路を歩く3日目の天気を最優先して、1日目の小雨に目をつぶりつつ、28入山にした。
8/27の夕方、富士駅近くのホテルで集まった。富士駅の周りは寂れ切っているというわけではないのに、空気感が平成どころか昭和という不思議なところだった。食当のT村はすべての買い出しを終えていたので、残り3人で、マックスバリューに行動食などの買い出しに行った。往復30分と地味に遠く、荷物の多い帰りは少し苦労した。夕飯は富士宮焼きそば。麵が角ばっていたのが新鮮でとてもおいしかった。日本とセルビアのバレーの試合を見てから寝た。翌朝は4時台に宿を出て、寝台特急サンライズを見てから身延線の始発に乗る。1時間以上乗ってたどりついた下車駅の下部温泉駅は無人であるうえに改札すらなかった。随分遠いところに来たなという感じ。入山口まではさらにこの後バスで1時間半もかかる。南アルプス遠すぎでは…
8:45 入山
奈良田は登山客がわらわらいる感じではなかった。アクセスの悪さから敬遠する人が多いらしい。白根三山の縦走はもっとメジャーなものだと思っていたんだけどな。標高1500mの広河原に対して、奈良田は800mしかないので、下りを好む普通の人は広河原から登る。今回わざわざ奈良田から入山したのは、2泊ともテントの予約がいらず、天候判断しやすいから、南からみると尖って見える北岳を目指しながら歩けるから(晴天時)、自分がそもそも登りのほうが好きだからという理由。
第一発電所までは車道歩き。リニア中央新幹線のダンプカーと何度もすれ違った。登山客の自分にとっては今しか見れない光景だろうが、働く人にとっては果てしない作業だろう。第一発電所で工事の関係者らしき人に直近に熊の目撃情報があった、遭遇したらここまで引き返しなさいと言われ入山。警戒しながら歩いたが、遭遇したのはサルだけだった。
9:39-45 R
舗装路が終わったところで小レスト。
そこから月替わりのホワイトボードにKUWVを書き残したり、工事で河原のようなところを迂回したり、ぬかるみ地帯を突破したりとんでもない急登をこなしたりした。途中何の動物の声だろうと話した音の正体は、このぬかるみ道を歩いた女の子の叫び声ということになった。
傾いたつり橋を渡った後に渡渉1をし、ここで小Rした。水量多めでまとまった雨が降ったら、渡るのは厳しそう。
10:17-21 小R
T村は今回アルプス用の底の堅い靴を新しく買ったものの、足になじみきらず、靴擦れに悩まされていた。1日目は靴下にも原因があるよう。絆創膏を貼ったり確認するために何度か止まることがあった。
連続した渡渉2,3を越えてから等高線の詰まった100mの登りを終えたところでレストした。
11:02-10 R
ここで読図クイズを出したところ二人とも正解していた。M谷の読図はPart2まで見当違いな答えだったが順調に成長している。
いくつか橋が架かっていたが、持ち手が張っていなくて頼りない。沢に近づいていくと登山道に靴が浸水しない程度の水が流れており、小屋番の人(彼が書いた新聞のエッセイ)によると、ここが奈良田から大門沢小屋までのハイライトらしい。
12:19 大門沢小屋
休憩含めてもCTを30分以上巻いての到着。富士山が見えそうな位置を確保しテントを張る。大門沢小屋は食事にこだわっているらしい。農鳥小屋は今年はご飯の提供をしていないのでアルプスらしく小屋でご飯を食べるにはここしかない。
13時までのラストオーダーに間に合い、うどんをいただいた。下界でも食べたくなるようなクオリティだった。南アルプスの天然水を使えるのは強い。小屋の人はK浦Partyのことを覚えている様子だった。
16時になり、いつも通り天気図と炊事をした。T村は天気図を書くよりご飯の炊き方を覚えるほうが大事だと主張してきたので、炊き方講座をやった。失敗が許されない場面でちゃんと完璧なものができた。米の炊き方も大事だが、風が強そうなテント場ではそもそも米を避けるのも大事な気がする。野菜要素として入れたグリーンピースはあまり良い評価をされていなかったが、総合的にはおいしい焼き鳥ご飯だった。小屋に缶をつぶす器具があったのでありがたく使わせてもらい、焼き鳥缶をコンパクトにして持ち帰れた。夕飯を食べ終わってからガスが下りてきて真っ白になった。明日の天気は期待できなそうだなと思いながら寝た。
4:00 起床
富士市から近いはずなのに一度も見えなかった富士山がここで登場した。東側は晴れていたが、西の稜線は相変わらずガスに覆われている。
5時からコーヒーの販売が始まったようで、T村のトイレ待ちをしているうちに周りの人が飲み始めていて羨ましかった。
5:07 大門沢小屋(1765m) 出発
5:59-6:05 2100m付近R
富士山の下の雲海がきれいだった。天候といい、沢沿いの道といい、なんとなく空木の朝の登りと似た感じだった。
6:56-7:05 2400m付近R
ひたすら樹林帯を上っていく。曇っていて風も涼しく歩きやすくはあった。ペースも順調だったというかこの4人でなかったら早すぎると思う。下降点近くでT村が早くレストをとりたいと言っていたので、下降点まで頑張ってもらう代わりに少しペースを落とした。
8:08-20 大門沢下降点2828m R
稜線にでると想像通りのガスガス、風もそこそこあって寒かったので一枚羽織った。ここまでT村は靴擦れで時々止まっていた。農鳥岳が近づくにつれガスが少しずつとれていき、富士山も再登場。農鳥岳の頂上からは南の一部を除いてほぼ完ぺきな展望を得られた。神展開!!
9:10-20 農鳥岳
10:00ー15 西農鳥岳
10:47 農鳥小屋
テント場には一番乗りレベルだった。農鳥小屋は地面にのめりこむように建っており、小屋というより要塞だった。それぞれカップラーメンを買ったり、雑談したり、過ぎ行く登山客を眺めたり寝たりして時間を過ごした。
100m下の水場まで全員で水を汲みに行った。
テント場は風が強く、水を沸かすのにめちゃくちゃ時間がかかったこと以外は順調だった。ガスもったいないから山ではゆで時間短めのパスタを選びましょう。味付けは市販品なので失敗するわけもなく、麵の量を多めにしたことで味の濃さもちょうどよかった。スープ用にゆで汁を再加熱したが、全然あたたまらず、飲めるぎりぎりの出来のスープになってしまった。
天気図をみると、午後にかけて日本海側に接近する前線が気になるところだけど、南アルプスだし、午前中は晴れのまま持ってくれそうなどと話していると、今日は夕焼けが見えそうとの情報が。
農鳥小屋はコルにあるので西側の谷に雲やガスがたまりやすく、夕日はめったに見れない。小屋の人曰く、今年の夏シーズン一番の夕焼けだったよう。こういうことがあるから、ガスで何も見えないことがあっても、悪天候で痛い目を見てもまた登りたくなると。日が沈んで暗くなってからも、段々と赤みが増してくる、長時間楽しめるタイプの夕日だった。中々、区切りがつかず、19時前までテントの外で見ていた。
NCKは夜に起きだして星を見ていた。流れ星がたくさんあったらしい。
3:30 起床
4:35 出発
間ノ岳までは1時間半ほどの登り。登っている途中に日の出が見られると思っていたら、東側にも尾根が伸びており、日の出の瞬間は見られなかった。日の出のせいか、登りのわりにペースが速く、ひときわ荷物の重いM谷がきつそうにしていたので、山頂でNCKに少し移した。
5:40-6:00 間ノ岳
風が強く体感5度くらいだった。文句なしの快晴で全部見えた。富士山、鳳凰、北岳、八ヶ岳、甲斐駒、北アルプス、御嶽山、中央アルプス、南アルプス南部などなど。
この区間に強風時に危ないと思われる箇所があった。この時は風がやんでいたが、岩場で道が細いところも多く、すれ違いもそれなりに多いので気を使う。
6:53ー57 中白根山 小R
キタダケソウなどを保護していそうなエリアがあった。北岳の周りは高山植物が豊かで固有種も多いらしい。8月末なのでそんなに咲いてなかった印象。
7:21ー30 北岳山荘R
新しくてきれいな小屋だった。ここに2泊して農鳥ピストンする人もいるらしい。そこまで奈良田を避けたいか…
8:25ー50 北岳
北岳山荘から北岳までは、農鳥小屋から間ノ岳に比較すると標高差はないが岩場らしさがある登りだった。
偽ピークを越え、山頂にたどり着く。ここまで快晴。本当に天気に恵まれた山行だった。これを超える白根三山はないと言い切れる。
ご飯を食べてから広河原14時発のバスに乗りたい。。この先のCTは4時間。時間には余裕があったので存分に景色を堪能した。
甲斐駒仙丈with一緒に下った人
9:19-25 肩の小屋R
有名な 北岳に来ただけ の標識があるところ。T村は以前泊まったことがあるようで、記念の手ぬぐいを買っていた。快晴の土曜日なのでここから白根御池までは北岳の日帰りピストン勢がたくさんおり、すれ違い、追い抜きが大量発生した。はじめの方にすれ違った人達は、心配になるくらい疲れ切っている人が多かった。まとまった休憩スペースが一か所しかなく、どこも先客に取られていたので、下まで降り続けるしかなかった。小屋間の標高差は780mもありこれをいっぺんに行くのは中々しんどかった。後半になるにつれ、登ってくる客が元気になっていき、自分たちのほうが消耗していくという逆転現象が起きていった。何より暑いのがよくない。間ノ岳の寒いぐらいの山頂が懐かしく感じる。
途中北岳山頂の近くで先に行ってもらった男性に追いついた。すれ違いが大変だから後ろをついて行ってもいいですか、と尋ねられ、白根御池小屋までご一緒した。
10:38ー55 白根御池小屋 大R
身体がヒートアップして熱中症になりかけだったので、長めにレストにした。ここでは水を無料で汲むこともできる。
レストをしていると、先ほどの男性が全員にポカリやコーラをプレゼントしてくれた。疲れた体にしみていつも以上においしく感じた。この山行はいいことしか起こらない。
11:45-49 R
12:23 下山
T村持参の絆創膏がなくなってしまったので靴ずれの箇所に医療箱の絆創膏を貼ってもらった。靴擦れはかかとで登りの時に痛くなるよう。
広河原山荘で昼ご飯を食べ、余裕をもって目指していた14時発のバスに乗って甲府に向かい解散した。
心残りが一つもない素晴らしい山行でした。悪天で撤退した比良から赤石、トムラウシ、白根三山と右肩上がりの満足度になってとてもよかったです。
NCK:天気図、ルーファイ、ペース配分、体力どれも優秀で頼れるSLでした。CLがんばって!
T村:うちのPartyでは唯一の経験者で特にルーファイ面で助けられました。SL問題なくできると思います。
天気図早く通るといいですね。そして食当ありがとうございました!
M谷:食当にやる気があるのは嬉しい。後期からもどんどん新しいメニューを出してください。