Tザワpartyは、PWとして九重連山での縦走を試みました。結果的には季節外れの寒波を前に撤退を余儀なくされましたが、近いうちに必ずリベンジを果たしたいです。
ともあれ、温泉旅行(軽めの山行付き)と思えば充実した時間でした。
日程:3/17-3/18
メンバー:Tザワ(CL)、T脇(SL)、A本(食当)、Tはし(装備)、Toka、正D、F間(客人)
Day 0 関西 >>大分
京都にいる面々(Tザワ、T脇、Tはし、Toka)はBoxに集合し、荷物の配分をして大阪港へ向けて出発。
F間は実家広島から電車でのアプローチ。途中正Dと合流し大阪港に到着。食当A本は鍋用のネギ3本をザックに差して登場。子供に好奇の目を向けられたらしい。「さんふらわあ」はこの日全室満室ということで、乗船まで長い列ができていた。
山行の前泊は車中泊、0付、(Box泊) など様々あるが、フェリーはその中でもQOLの高さがレべチ。なお、夕飯は¥2500 ビュッフェのみだったので売店で買ったカップ麺でおとなしく我慢。
概念図
今回のルートは、法華院温泉山荘を起点に、九重連山のピークを隈なく踏破するもの。晴天の下、雪化粧をした九重連山の雄大な景色を楽しめるものと誰もが期待していただろう。CLも計画段階から期待値が相当高く、この山行を待ち遠しく思っていた。1週間前の3/9に天候判断を行い、前日まで多少の降雪があるものの、3日間晴れの予報であった。数日前に予報が変わり、2日目が降雪の予報となった。最低気温も-5℃以下と、かなり冷え込む予報になっていたが、日程の変更は不可能であった上、この時点では撤退するほどにはならないだろうとの認識だった。
Day 1
CT:2:56 ↑497m ↓269m
フェリーの朝食はビュッフェで和洋中様々あった。朝風呂も済ませて下船。7:45に別府観光港のバス停でF間と合流した。港からは雪化粧の由布岳が望めた。思ったよりも積もっており、PW九重の運命が思いやられた。九州横断バスで2時間ほど揺られて、くじゅう登山口に到着。バスを降りると辺り一面雪で覆われ、何より、凍てつくような寒さだった。「北風小僧の寒太郎」にMVがあるとしたら使われそうな、そんな寒々とした風景だった。雪の量はまだしも、寒さは限度を超えていた。この日の予報では、Day 1, Day2ともに風速15m/s以上の強風の予想が出ていて、おまけにDay 2は時間当たり数センチの積雪。稜線歩きは厳しいかもしれないが、CS1, 2の法華院温泉山荘までは谷沿いで風もいくらか弱いと見込めることから、ひとまず入山することに決めた。
それから、A本についてはテントマットを忘れてしまったということで、入山前に登山口近くにあったモンベルでテントマットを購入した。テンマ忘れは普通に撤退案件であり、モンベルに救われた。また防寒に不安があるというのでフリースも購入していた。CLも自前の手袋に加えて、防水防寒のグローブを新たに購入した。モンベルの店員さん曰く、この寒さは真冬に比べれば大したことないそう。数年前自宅の軒先で、-20℃を下回ったらしい。一口に九州といっても南国から冬山までその気候は多様である。
10:33 入山
登山口からしばらくは舗装道路を歩く。道路わきのあぜ道には氷柱が何本も垂れていて完全に雪山演出だった。この時点ではアイゼンはつけていない。ゲイターのみ。
11:06-11:15 レスト
30分ほどたって舗装路が終わり。登山道へ入った。その分岐点でレスト。雪山を登っていくパーティーを見ていると、アイゼン講習と全く同じ景色。温泉の香りに包まれながら緩やかな登りを登っていった。再び舗装路が始まり、しばらく歩くと「ここから先落石注意」の看板が現れた。ルートの先を見てもフラットな谷になっているだけで落石などなさそうなので不思議に思ったが、どうやら今までの道のことを言っているらしい。振り返ると確かに大きな岩が点在している。全く気にせず歩いていたが、この道を通るときは十分に注意が必要。
12:23-12:36 諏蛾守越
入山から今まで和気藹々と話しながら登ってきたのだが、ここから10日間の九州旅行や屋久島PWの記憶に押し出されて、何を話したのかほとんど覚えていない。思い出したら書き足しておく。諏蛾守越から分岐を北へ行けば三俣山に至るが、頂上付近を行く雲のスピードが半端じゃなかった。この気温であの強風。体感温度はすさまじいことになるので潔くカットすることに決めた。諏蛾守越小屋は地形図で建造物の記号が振ってあったことから避難小屋のようなものを想定していたが、屋根と太めの柱のみの、石造りの東屋だった。止まっていると着実に体温が失われていくので、早々に出発。
13:27 法華院温泉山荘到着
諏蛾守越を出てしばらくは平らな道が続いた。雪と小石で覆われた地面は、KUWVの者なら納得してくれる、あるものに見えた。この頃、単独で九重に来ている男性に追いつき、山荘までパーティーの少し後ろについて一緒に歩く形になった。我々が作るトレースがありがたいらしい。13時頃から、谷沿いの降りが始まった。積雪はアイゼンが必要なほどではないと判断しツボ足で降りて行ったが、徐々に積雪が増え始め、多いところでは10cm以上積もるようになった。道もいくらか急だったのでアイゼン装着が望ましかったが、道が狭かったことや山荘までそう遠くはなかったのでそのまま歩いた。時間が押していたわけではなかったし、下りで滑りやすかったのでやはりアイゼンを付けるべきだった、と今になって思う。山荘に近づくにつれ温泉の香りが増していき、1時半前に法華院温泉山荘に到着。懸念していたテン場の積雪の状況をまず見に行く。テン場には数センチ雪が積もっていたが、コンパネが設置されていて簡単に雪をどけられた。積雪は解決したが、夜の冷え込みと風が相当心配だった。一旦テントを立て始めるように言って、小屋の人に相談しに行く。小屋の人は急な相談にも優しく応対してくれた。今日明日の気温と風について尋ねると、気温については「今朝が-7℃、明日も同じくらい」という話だった。風については谷沿いなのでそこまで強くはならないと考えていたが、ご主人の話によれば意外とそうでもないらしい。-5℃以下、強めの風では我々の装備でテント泊は不可能である。
この時点では、①今日中に撤退②明日朝撤退③明日は沈してDay 3は行程通りに山行を行う という3つの案があった。関西からはるばる来て即撤退というのは流石に味気ないし、Day 3の天気には期待できそうだったため、とりあえずこの日は小屋泊することに決めた。メンバーにとっては予想外の出費となり申し訳ない気持だったが、極寒のテントで一晩耐え忍ぶよりはマシですね。
幸い空室は十分にあるということで、隣り合う小部屋を繋げて大部屋にしてくれた。素泊まり1人¥7500。温泉はご自由にどうぞ、ということだった。
~於山荘~
山荘は2棟あり、片方の棟に談話室と宿泊者の部屋がある。この談話室で調理をすることができる。入山から僅か3時間ほどで冷え切った体を温めるべく、お湯を沸かしてココアやらカフェオレやらを飲んだ。これらはF間による秘密兵器①である。
その後部屋の方へ移動した。部屋には灯油ストーブがあり、北国出身のA本、Tはし両氏により、こなれた手さばきで灯油の残量が確かめられた。部屋に入ったとき室温は2℃と表示されていて、とても耐えられる寒さではなかったため、全員がストーブの前に座り暖をとった。活動ができるほどまでに部屋が温まってきたところで、恒例の大富豪。大富豪は時に、現代社会を如実に反映する。
16:00 天気図
盛り上がっていたところ、トランプを切り上げて談話室へ移動。準備の良いSLが天気図用紙を配り、みんなで天気図を描いた。西高東低。今自分たちが身をもって体感している天候がそのまま反映された。山荘では電波が入ったのでここでWindyやてんくら等を見て、明日以降の天候判断も行った。明日の沈は確定的な状況だったので、メンバーとも相談して明日の朝Escape1より撤退することに決めた。Day2で沈、Day 3で久住山を周回し、牧ノ戸峠から下山というのも考えたが、どうせならまた来た時に九重をぐるりと一周したいと思った。こうなったら残り少ない時間、存分に楽しまねば。
夕飯は鍋。山行には来れていないが、この食当を考案したYぐちに感謝感謝。夕食後はF間による秘密兵器②ポップコーンが開封された。その後温泉に浸かり、寒さに凍てついた体を癒した。湯加減もちょうどいいし、空間もとても趣がありずっと浸かっていられた。本山行の核心。部屋に戻ると再び大富豪をやった。また宿帳があって、数々の滞在記を楽しく読み、F間が我々の爪痕を残した。自由帳のように子供の絵がたくさんあったのが印象的。22時半頃就寝した。
Day 2
CT:2:40 ↑152m ↓380m
6:00 起床
朝起きると窓の内側の結露が凍り付くほどの寒さだった。「山荘に泊まっておいてよかった」と誰もが思ったと思う。寒さでしばらく布団から出てこない者もいた。朝食に関しては昨晩、「明日の朝の食当どうする?」という話になり、予定では食パンだったが、ぺミされた牛肉を消費すべく、Day 2の夜に予定されていたハヤシライスを食べた。朝からハヤシライスとは何と豪華な山行か。
8:10 出発
山荘から見た感じ坊ガツルの積雪はほとんどなかったので、ひとまずアイゼンなしで行動開始。昨日山荘で会った、某大学の元ワンゲル部員の方がパーティーの後ろについて一緒に下山することになった。天候は快晴、微風。見ての通り、澄み渡る青空のもと、坊ガツルからは九重連山のパノラマが楽しめた。「いい山行感」があふれ出ていた。このまま撤退するのは相当悔しかったが、下山せざるをえなかった。
8:41-8:55 アイゼン装着&レスト
坊ガツルを出て徐々に樹林帯に入ってきたところで登山道が積雪に覆われるようになった。10cmほどであり、この時点ではツボ足でも問題なかったが、この後トラバース気味の登りが続くこと、昨日のように急に積雪量が増えることも考えられたことから、アイゼンを装着した。 山行らしいことを1つはしようという思いもあったと思う。
歩き始めて10分ほどしてSLが「アイゼンが緩む」というので立ち止まった。固定し直して歩き、また止まるということを何回か繰り返したので、アイゼンの金具が壊れているのかと思われたが、SLの話では今回履いている靴はアイゼン購入以前に使っていたものであり、新しく購入した靴とは異なりアイゼンが上手くフィットしないのだと考えらえた。付けてもすぐに緩んでしまうこと、ツボ足でも歩けることから、SLのみアイゼンなしで歩くことにした。下山後アイゼンを確かめたところ、金具に紐を通すべきところ、通していなかったのが原因だと分かった。
9:27 雨ヶ池越通過
なだらかな斜面のトラバースが終わると開けたところに出て、これが雨ヶ池という湿原だった。ヤマレコの説明によれば、旧火口に水が溜まったものらしい。木道が整備されていたので快適に歩くことができた。雨ヶ池を抜けると多少のアップダウンを繰り返し、麓まで下りが続いた。この下りの最中から天気は晴れ→曇りとなり、風も少し強くなってきた。
10:26-10:39 レスト
緩やかな下りが続き、下山まであと20~30分というところで雪がちらつき始めた。しばらくレストも取っていなかったのでセパ着用を兼ねてレスト。予報よりも降り始めが早かったが、下山地点までもうすぐだったので特に問題はない。トレース上の雪がほとんどなくなってきたので、ここでアイゼンを外した。長者原へ降りていく間、雪がだんだんと強くなり、うっすら積もるようになった。この山行中ずっと感じていたことだが、3月後半の九州とは到底思えなかった。
10:59 下山(長者原ビジターセンター)
レスト抜きでCT通りの時間で下山。雪がかなり強まってきていたので、ビジターセンターにお邪魔させてもらい、そこでバスが来るまで待機。この後雪は強さを増して、3時間足らずで10cm以上も積もった。景色といっても、すぐそばの三俣山ですら見えないような視界だったので、行動食とトランプの無限ループが続いた。ありがたいことにバスは通常通り運行していた。途中Day3の下山地点だった牧ノ戸峠を通り、1回生時の山行を思い出して郷愁に耽っているF間の横で、リベンジ欲が大いに掻き立てられた。
お疲れさまでした。残念な結果にはなりましたが、山やる上では必要な経験だと思います。是非ともリベンジしたいですね。同時に、春山行の天候判断の難しさも学びました。現地で的確な判断が行えた点は良かったです。結果はどうであれ良い?思い出となったようで嬉しく思っています。
T脇:いつもの通り安定感がありました。アイゼンも解決して良かった。
A本:持ち前のコミュ力でpart1から九重までパーティーを回してくれました。A本さんあってのTザワパーティーだったと思います。
Tはし:楽しみにしていたと思うけど、1回はこういう山行があってもいいと思います。前期、後期と回数を重ねる間に着実に力がついてきたと思います。特にCLが見ていて思うことは、常に冷静であるということ。大きな強みです。来期以降もたくさん山登ってください。
Toka:予め靴擦れ対策するなど、用意周到でした。part1から見ていて成長が著しいので、これからに期待です。
正D:撤退中でも読図に積極的なところ、良かったです。SL有力候補だね。
F間:多少はノスタルジーが感じられたでしょうか。F間さんがいることで山行を通して心強かったです。またいつでも山行きましょう!