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身体活動・運動と健康
身体活動や運動は、糖尿病などの生活習慣病やメンタルヘルスの維持に重要です。一方、その健康との関連は、単に「どれくらい体を動かすか」だけでなく、身体活動の強度や種類だけでなく、余暇・仕事・通勤といった、身体活動が行われる場面によって異なる可能性があります。
これまで、職域多施設研究(J-ECOHスタディ)の運動疫学コホートなどを確立することで、日本の働く世代を中心とした大規模な疫学データを駆使し、余暇の運動、仕事中の身体活動、筋力トレーニング、有酸素能力などと、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、慢性腎臓病、抑うつ症状、精神疾患による長期病休などとの関連を報告してきました。
なかでも現在、重点的に取り組んでいるのが通勤・移動と健康です。通勤は多くの働く人が毎日繰り返す行動であり、徒歩や自転車による身体活動だけでなく、公共交通機関の利用、乗り換え、混雑、通勤時間、交通環境など、さまざまな要因を含んでいます。
これまで、徒歩・自転車・自動車・公共交通機関といった通勤手段と、肥満、糖尿病、メンタルヘルス、長期病休などとの関連を検討してきました。こうした研究から、健康的な移動を考える際には、単に「歩く・自転車に乗ることは健康によい」と捉えるだけでなく、どのような交通環境で、誰が、どのように移動しているのかを考えることが重要だと考えています。
今後も、個人の努力だけに依存しない健康づくりという視点から、通勤手段や交通環境、仕事環境と健康との関係を明らかにし、より健康的で持続可能な社会・都市環境づくりに役立つ科学的根拠を提供することを目指しています。
主な論文
・余暇・仕事の身体活動(身体活動パラドックス)と精神疾患による長期疾病休業の関連 Am J Prev Med, 2026 Link
・自転車通勤と糖尿病リスク Diabetes Care, 2022 Link
・徒歩通勤や自転車通勤に変えると体重は増えにくいか Int J Behav Nutr Phys Act, 2019 Link
・余暇・仕事・通勤時の身体活動と抑うつ症状 Int J Behav Nutr Phys Act, 2015 Link
情報発信・行動変容
テレビ・ワイドショーなどの健康情報と人々の行動
テレビやインターネットなどのマスメディアは、感染症流行時の人々の健康行動やリスク認知に大きな役割を果たします。一方、センセーショナルな健康情報の反復的な報道は、必ずしも望ましい健康行動につながらず、他者への過度な介入などの社会的影響をもたらす可能性があります。
日本全国25,482人を対象としたJACSIS研究により、COVID-19に関する情報源としてテレビの「ワイドショー」を視聴することと感染予防行動との関連を検討しました。ワイドショーの視聴は、推奨される感染予防行動の厳格な実施とは明確な関連を示さなかった一方、感染予防行動をしていない他者に注意することと関連していました。
PLOS ONE, 2023 Link
医療専門家によるデジタル情報発信と感染予防行動
コロナ下では、SNSや動画などのデジタルメディアを通じて、医師などの医療専門家が感染予防に関する情報を発信してきましたが、その効果はよくわかっていませんでした。
新型コロナウイルス感染症流行下で医療専門家によるデジタルメッセージの効果を検証したランダム化比較試験(RCT)を系統的にレビューしました。その結果、医療専門家からのメッセージは、感染予防行動やワクチン接種、情報探索などの行動を促す可能性が示されました。また、医師による動画メッセージの配信によってCOVID-19感染が減少したことを示した研究もありました。一方、含まれた研究にはバイアスの懸念もあり、効果の大きさや確実性についてはさらなる研究が必要です。
J Infect Public Health, 2023 Link