宮あさか
これまで君にいろんな歌を聞かせてきた。
素直になれない僕は、歌に全部を託してきたけれど。
僕の知らないメロディーを君が口ずさむようになった。
僕の知らない表情で君は何かに焦がれているようだった。
君に近づいたその影は、
きっと僕より器用に愛を伝えて、
そっと手を取って君をさらってしまう。
僕は立ち尽くすばかりで……
君に届くことを願って、君も一緒になって歌って。
そんな時間はずっとは続かないんだなぁ。
君が僕から離れていって、僕は一人きりで歌って。
こんな無力な僕をせめて今は笑ってほしい。
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