僕が自分のお金で本を買うようになったのは中学2年生の冬でした。当時はお金がなかったため(今も決してあるわけではありませんが、自由になるお金は増えました)、自宅から自転車で10分ほどのところにある古書店に通い、めぼしい本を見つけていました。ちょうど読みたいと思っていた本が状態良く書架に差さっているのを見つけると気分が上がったものです。たくさんの人によって読み継がれてきたことを思わせるような古い本も嫌いではないのですが、真新しい本を開くときの、新しい扉を開けてまだ誰も見たことのない世界を覗くような高揚感が、やはり僕は好きなのだろうと思います。
僕が文芸部文学パートの編集業務に携わったのは今回が初めてでしたが、自分の中で「新しさ」をテーマに据えて編集業を行いました。新型コロナウイルスの流行により従来の紙の冊子が作れなくなったことで、電子配布に切り替えたことが一つ。そしてもう一つがデザインフォーマットです。内容を理解することではなく、文字を追うことにストレスを感じることがないように、しかし、従来の雰囲気から逸脱することのないようにレイアウトを組みました。新品の本を開く際のあの高揚感が少しでも再現できていることを願っています。もしご意見等がございましたら文学パートのツイッターまでお寄せください。また、収録作についての感想も歓迎しております。
最後に、アプリストア、グーグルプレイから無料でダウンロードすることのできる「SideBooks(Google Play ストア/App Store)」というアプリが縦書きのPDFを読むのに適しているのでオススメしておきます。
それでは、また。
2021年4月1日
山本哲朗