老若男女が楽しみ、親しめる普段着を
(重松株式会社)
こんにちは!私たちは九州産業大学の観光学科の学生です。
今回は久留米市で久留米絣の問屋業を営む会社にお邪魔してきました。
皆さん、「問屋」って聞いてことありますか?
正直、私たち自身も問屋が普段どんなことをしているのか、取材をさせていただく中で知りました(笑)。
訪れたのは重松株式会社。
社名だけだとなかなか久留米絣の会社とはわかりませんよね。
藍暦(あいごよみ)というブランドで、久留米絣の製品を作られています。
今回は取締役の重松佑介さんに、問屋さんの仕事内容から絣へのオモイやミライについて聞いてきましたのでご紹介します!
色トリドリの反物たち
問屋さんではまず、織元から生地を仕入れるところから始まります。
取引先は7社ほどあり、一軒一軒足を運んでは、季節や流行に合わせて仕入れる生地を決めているのだそう。
生地も紺や黒などの「THE 伝統工芸品!」って感じの色ばかりじゃありません。
赤や緑、黄色などカラフルな生地もありました。
柄も多種多様。
水玉や#(ハッシュタグ?) みたいな柄だけでなく、動物やドクロのマークなども。
地味な柄が多いのではと思っていたので、良い意味で裏切られました(笑)。
ドクロやピアノの鍵盤の柄など、カラフルな生地がたくさん
久留米絣の生地は、直射日光に弱いそう。
そのため、生地のある部屋は黒幕で光が遮断されていました。
もちろん、絣の製品を干すときも直射日光を避けて陰干した方が長持ちするそうですよ!
生地が日焼けしないよう、暗室で管理されていました
採用されるデザインはほんのわずか?
続いて案内されたのは、デザインの現場です。
服のデザインのラフスケッチや型紙がいっぱい!
観光学科ではデザインとはあまり縁がないので、こうした場所自体にドキドキします…。
アイディアを形する現場はステキで、すごくカッコいいと思っちゃいました(^_^)
モノづくり、デザインの現場にワクワクしっぱなしでした
型紙には、紙のものだけでなく、布で作られたものもあります。
布の型紙だと縫ったときのしわ感などがみられるそうです。
布で型を取ったら、一度試着。
着てみないとイメージしていたものと印象が変わるのだそう。
実は試作した洋服もほとんどが没になってしまうことが多いのだとか。
例えば試作を10種類作っても、1着も採用されないこともあるそうです。
なんとも厳しい世界です…
針を刺さして布を詰めることで、しわ感がより分かりやすいそう
大事なのはシンプルさ?それともデザイン性?
採用された服ははれて、次の工程に進みます。
縫製工場への発注です!
会社が工場のように大きかったので、てっきり内部で製造しているのだと思っていました^^;
縫製工場は、全国や海外などにもたくさんあるそうですが、藍暦では久留米市周辺のところに発注しているそう。
その理由を聞いてみると、
「相手先がよく知っているところであれば、指示が少なくても要求通りに仕上げてくれます」
「慣れていないところだと、指示を細かくしないと手戻りが増えるので…」とのこと。
最近は、国内でも作業は外国の人だったりするそうです。
「作業工程がシンプルつ分かりやすくした方がいいのですが、他社製品と同じようになってしまう」
デザインを取るか、シンプルさを優先させるか、悩ましいところです。
世間でシンプルなデザインの服が多いのも、理由がなんとなくわかった気がしました。
サンプルにも細かい指示が図付きでいっぱい
難しい指示をしてしまうと、要求通りの仕上がりではなかったりします。
検品して縫い落ちがあったりすると、変更依頼が生じて販売が遅れてしまいます。
発注がいかに大事な工程であるかを実感できました!
実はワンサイズ!?
今回の取材で驚いたのは、服のサイズは実はワンサイズのみだということ。
S,M,Lなどのサイズがないということです。(当たり前ですが・・・)
つまり、服の型紙が1つなのです!
この理由について、重松さんに伺うと、
「そもそも久留米絣の生地が希少なんです」
「1製品あたりの製造数は30ほどになりますが、取引先の各店舗には1つずつぐらいしか卸せません」
「各店舗ではほぼ1品ものみたいになるので、サイズを揃えるのが難しいんです」とのこと。
生地のバリエーションが多い分、まったく同じ製品の数は少ないわけです。
農業の少量多品目生産と同じなんだと気付かされました。
各店舗ではほぼ一点ものばかりの服ばかり!
卸す地域も見極めが大事!
発注、検品が無事終わるといよいよ納品です。
納品先は全国の百貨店だけでなく、各地の観光地などにも卸しているそうです。
和装小物を取り扱っている店舗にも卸すのだとか。
福岡県内だけでなく、東京や近畿の奈良や神戸などにも出しています。
意外にも京都は取引が少ないそう。
久留米絣は元々庶民の普段着がベースのため、公家文化が色濃く残る京都には合わないみたいです( ´∀` )
「浅草に行くと藍暦の商品を見かけることが多いですよ」とのこと。
今度行ったらっ探してみよーっと!
絣は和洋を問わず、カワイイ小物もいっぱい
重松さんがオモイ描く、ミライ
最後に重松さんに、久留米絣にかけるオモイとミライについて伺いました。
「久留米絣の魅力を国内外の人、特に若者にもっと知ってもらいたいですね」
絣の魅力は、なんといっても着心地の良さ・長持ちする品質・風通しの良さ。
若い人たちにも、それを知ってもらえるよう発信にもチカラを入れているそうです。
「私は久留米絣って、もともと普段着として身近に着ていたものだと思います」
「だからこそ老若男女が親しみ、楽しめる製品であり続けたい」
それが重松さんの久留米へのオモイであり、ミライでした。
編集後記
私は今回の取材を通じて「問屋によって織元と私たちは繋がっているんだ!」とトキメキました。
これまで文字上でしか知らなかった問屋や卸売業という仕事。
実際現場で携わっている方々から話を聞いて、チームプレイをとても感じました!
織元から受け継いだ大切な生地を使い、デザインや流通・販売を通じてお客様に良いものを届けようとしている姿を見て。
人の手間暇・思いなどを繋いでいる姿に誇りと責任をもって仕事をしている姿がすごくカッコよかったです!
そんな卸売業の人達が丁寧に考え作った作品をみなさんもお手にとってみてもらいたいです。
(那須 萌夏)
私が今回のインタビューを通してトキメキを感じた所は、商品のバリエーションの多さです。
Tシャツからワンピース、パンツ、帽子や日傘、カバンなどさまざまな商品展開をしていました。
一つ一つの反物はとても繊細で、加工する手間もかかるのに日常使いできるものが多い所に感動しました。
お気に入りは下の写真の商品です。
みつけたとき、祖母と散歩をしている姿が浮かび、お揃いで使いたいと思いました。
皆さんもぜひ、身近な人とお揃いで久留米絣の商品を使ってほしいです。
(高野 眞凜)
私が取材を通じてときめいたのは反物の柄、色の豊富さです。
伝統工芸品の織物と聞くと、黒・紺などのダーク系統の反物が多いイメージでした。
重松さんが取り扱っている反物は緑や赤など、カラフルであっただけでなく、柄も動物やドクロなど、とても親しみやすいものばかりでした!
皆さんもお気に入りの色や柄を探してみてほしいです!
(西井田 直登)