織元の産地への想い、とどけ!
(池田絣工房)
織元の産地への想い、とどけ!
(池田絣工房)
こんにちは!私たちは九州産業大学の観光学科の学生です。
突然ですが、みなさんは久留米絣をご存知ですか?
久留米絣は重要無形文化財であり、伝統的工芸品でもあります。
そんな久留米絣をもっと知るべく、絣の工房が多く集まる筑後市に行ってきました!
訪れたのは池田絣工房。
4代目の池田大悟さんに貴重なお話を伺いました。
久留米絣ができ上がるまでの作業工程はとっても多いです。
そのため、特に私たちがトキメいた「図案」「括り」「藍染」の3工程をピックアップしてお伝えします!
池田絣工房の店内では、機織り機での手織り風景も見ることができます
久留米絣の一番の特徴と言えば、藍色に浮かぶ繊細な模様ですね。
この繊細な柄を作るには、糸が染まらない部分を作る必要があるのです。
この柄は綺麗な十字が均一に織り込まれています。緻密な柄ほど時間がかかるそうで、生地だけで100万円を超えるんだとか!?
最初は理想像を決めながら、模様を付け加えたり、省いたりしながら柄を決めます.
柄を図案化するには、様々なイメージが必要なんだそうです。
「洋服になったらどうなるかな?」
「着物だったらこっちのデザインのほうがいいよね」
と柄の使われ方を考えながら、形を作り上げていきます。
もちろん、顧客の要望も取り入れているそうです。
例えば、動物の柄も、お客様からの要望から始まったものなんだとか。
今では池田絣工房一つの特徴になっているそうです。
ぱっと目を引く可愛らしいウサギがいますね
池田絣工房では他にも犬や猫、フクロウ、招き猫、鳥の柄もあるそうです。
こちらはワンちゃんの図柄
ユーモアある柄がワンポイントあると、一目惚れしちゃいますね!
一つの反物を完成させるのに、半年もの時間がかかるそうです。
なので、池田絣工房では流行に左右されない柄やあまり古くならない柄の作成を心がけているそうです。
流行をあえて取り入れないところはとても驚きでした。
柄のイメージが決まると、次に図案化の作業があります。
経糸(たて)と緯糸(よこ)がそれぞれ何本あればこの模様ができるのか?
糸の長さなどを掛け算や足し算を使って計算していく作業です。
一般的な服は大量生産であることが多いため、模様は後から印刷したり、刺繍したものが多いです。
しかし、久留米絣は糸を一本ずつ染めて機織り機を使って織られています。
そのため、手織りで作業したものには縫う人の性格が現れることもあるとか(笑)
とても手間のかかる作業です...
柄のデザインを図案化するのはまるで、パズルを作るような作業!
ここでズレが生じると次の工程にも支障が出るため、じっくり手間をかけて図案化していきます。
こんなに緻密な図案というのは初めて見ました。
紙には、模様と合わせて細かい線びっしり!
縦と横の線がそのまま、経糸と緯糸になるため、糸をどう塗り分けるかを把握するんだそうです。
これが反物の設計図なんだーと思わず見とれてしまいました(笑)
糸を塗り分ける箇所の計算がびっしり
図案ができあがると、今度は糸の工程です。
久留米絣の模様は、糸を染め分けることで生まれます。
そのため、括(くく)りという工程が超重要。
糸の束になったものをひもで縛ることで染まらない部分が生まれ、模様が出来上がります。
紐で括った部分が染まらない。括りの幅も模様で変わるそう
括りの手括りと機械括りがあります。
実は手括りの工程こそが、重要無形文化財に登録されている部分なんです!
池田絣工房では、手括りと機械括りのどちらも使っているそうです。
括りは染めるときに解けないよう硬く括ります。
ただ硬くすればいいわけではなく、染めた後は手早く解けるように括らないといけません。
説明を聞くだけで難しそうですね...
手括りの場合、経験を通した熟練の技術が必要なんだそう。
ひもの締め方が甘いと色が塗り分けられず、図案通りに模様が完成しなくなるからです。
池田さんによると、とにかく丁寧な作業が大切だそうです!
括りをほどくと縫い分けがくっきり
「括り」の次は糸を染めていきます。
藍染の藍の原料は、タデ藍という植物の葉。
それを乾燥・発酵させた蒅(すくも)と呼ばれるものを使います。
蒅は腐らないので長期保管や流通に最適なんだとか。
池田絣工房では徳島県の阿波藍(あわあい)を使用しているそうです。
これが蒅(すくも)です。
結構ずっしりとしていて、砕けばさらさらになります。
黒ずんだ色をしているので本当に藍の青色が出せるのだろうか?と疑問に思いました。
どうやらその疑問は次の場所で解消できるようです。
ついに藍染を行う場所にやって来ました!!
おぉ~!!甕(かめ)がいっぱい!
なんか鼻に残る独特なにおいがします。
このにおいの正体は藍だそうです。
入った瞬間、この場所は放つ空気感が他とはまるで違うと感じました。
何といえばいいのでしょうか、少し重たい感じがします。
甕は人がすっぽり入るくらい深いそう。
なので絶対に落ちたくないと思いながら細心の注意を払いました(笑)
紫っぽい液体に少し気持ち悪い泡が浮かんでいます。
なんだか魔女が使いそうですね(笑)
この液体は一体何だろう?と池田さんに聞いてみると、
アルカリ性の液体と蒅(すくも)を混ぜて発酵させたものだそう。
空気に触れていくことで酸化して色が変わり、定着するという仕組みになっています。
藍染の基本の流れは「色につける→絞る→たたく」
この過程を何回繰り返すかで色味が違ってきます。
甕ごとに藍の濃度も違うので、風合いも変わるそう。
染める前日に糸を茹でておくと、糸が沈みやすく色むらも防げるのだとか。
いろんなノウハウだらけです。
久留米絣といえば、柄と同じくらい藍染のイメージもあります。
その工程を見ることができて感激しました!
色が変わるのは一瞬で、絞った後に現れる鮮やかな「青」の様子が頭から離れません。
最後に池田さんに、久留米絣にかけるオモイとミライについて伺いました。
「現在、久留米絣の組合に所属している織元は20数件ありますが、今後はだんだん減っていくと思うんですね」
「そうすると、職人さんの仕事が成り立たなくなってしまう」
久留米絣の産地としての危機感を語る池田さん。
「産地」という言葉には、織元だけでなく、問屋や機織りの職人たち、来訪者や消費者、これから新しく絣を手に取る人々まで含まれます。
それら全部が一つになって産地と考えているそう。
「産地として活動が成り立ち、職人が尊敬され 、ちゃんと生活していけること」
「久留米絣に関わるみんなが幸せになれる産地になってほしい」というのが池田さんの願いでした。
私が取材を通して感じたトキメキポイントは、織元さんの商品展開です。
織元さんは元々製造業ですが、池田さんの工房では服やバッグの他、靴や帽子などの販売も行っていました。
商品はどれも普段使いしやすいものばかりでワクワクが止まりませんでした。
中でもこの絣のネクタイは古着と合いそうで一目惚れの品です。みなさんもぜひ池田絣工房でお気に入りの一着を✨
(押川莉弓)
私が取材をしてときめいたことは糸を染める作業です。
糸を液体につけてから絞って空気に触れた瞬間に青く発色したところが見れてすごく驚きました。
染めて模様ができる魔でには糸の括りや藍の生存環境など準備しなくてはいけないものや技術が詰まっているところが特殊だと感じました。
久留米絣には紺色だけではなく明るい色の商品もあるので目の前で生地の色鮮やかさを見てほしいです。
(副島啓太)