板橋区高島平地域の高七小の棟下式
&廃校資材活用ワークショップに参加してきました
板橋区高島平地域の高七小の棟下式
&廃校資材活用ワークショップに参加してきました
東京都板橋区 高島平地域は高度経済成長期に形成された超大型住宅団地を含む地域(詳しい説明はこちら)です。
大型の住宅団地は分譲、賃貸を合わせて1万戸以上にのぼります。また、地域内には2.5㎞も続く緑道もある緑豊かな地域です。
一方で、高度経済成長期に開発された住宅団地の例にもれず、当時入居したファミリー層が約50年たって高齢化を迎え、なかなか若い世帯との入れ替わりが起きない事、それに伴い地域内で様々な生活上の問題が発生するようになったり、建物の老朽化も進んでいます。
その様な地域の状況の中で、団地を中心とした地域の再生が進んでいます(再生計画はこちら)。
このような大型の団地の建て替えは一度に全ての建物を行う事は難しいため、団地内を複数の地区・工期に区切って順番に建て替えを進め、入居者の居住場所を確保しながら行う「連鎖型建て替え」が計画されています。
その一環で、少子化により廃校となってしまった地域の小学校の跡地が、連鎖型再開発の最初の再生のための開発地として利用されていく予定です。
当然、そのためには校舎を取り壊す必要があります。一方で地域に何も言わずに一方的に校舎を壊してしまうことは、地域の方々の想い出や愛着の詰まった小学校を配慮なく失わせることに繋がってしまいます。ですが、たとえもとあった形がなくなったとしても、「地域の方々がそこで暮らしていた証や想い」が残り続ける事は、その地域の持続可能性を担保する大きな要素になりえます。そこで、地域の皆さん(卒業生等)が廃校・取り壊しをされた小学校に集い、想い出を語らって懐かしんだりしながら、想いをそこに残しながら小学校を閉じていくイベント「棟下式」が高島平地域で行われました。
建物の取り壊しにおいては、多くの廃棄処分予定の建材・資材が出ます。特に小学校の様な跡地であれば、机や椅子、床や壁材など、多くの資材が廃棄物となります。その様な資材にも地域の方々の想いや思い出が宿るものであり、何らかの形で再利用される例も、これまで他地域でも行われてきました。特に、それらを単なる再利用ではなく、より価値のある製品に生まれ変わらせていく「アップサイクル」(横浜市の体育館の事例)のためのプロジェクトがこの高七小においても計画されています。
今回、小学校の棟下式と合わせて、このアップサイクルプロジェクトのキックオフワークショップが行われ、当研究室から、関口とB4の中川君とで参加してきました。まずは図工室でアップサイクルプロジェクトの趣旨の説明を受け、その後、体育館や理科室など校内を周り、廃棄予定かつアップサイクルの材料になりうる資材の確認をしました。
その後、「校舎の階段の手すり」を参加者の皆さんで外す「手すり下ろし」を行い、その手すりを使って、何が出来るかをワークショップしました。
色々なものが出来そうで、参加者の皆さんと名刺立てやペン立て、手紙入れなど手すりの形状を生かした製品を作っては見ましたが、、、、
これが意外と難しいもので、資材の形だけから連想すると、小学校にあったものをアップサイクルする意義が見いだせない製品の案しか出てきません。最後の振り返りの時に中川君もコメントしていたように、「小学校でどう使われていたかをモチーフとしてアップサイクル化」するのがかなり難しいと感じました。
また、一緒に参加した地域出身の家具屋を営んでいる方や建築家の方は、アップサイクルプロジェクトそのものを地域に根付かせていくことの難しさ(労力コストとの兼ね合いや目標がはっきりしないまま走らない方が良い、など)についても言及されていました。
今回のプロジェクトを先導してくれているのは東京の学生さんたちでもあり、そのバイタリティやアイデアについて感心しながらも、より大きく組織化して、ビジョンを見据えて、1年後の解体に備えてアップサイクルプロジェクトの全体像を作っていくことが重要なんだろうな、と感じました。
さて、我々2人は、ワークショップの戦利品として写真のような「手すり」⇒「研究室の表札」にするための加工まで行ってきました。
ここに研究室名を入れて、紐を通して、「手すりに座って遊んだ」経験を踏まえたデザインをして、研究室にかけてみようと思っています。
夏のうちには実装できるんじゃないかと思っています。こうご期待。
【参加したB4の中川君より感想】
今回、小学校の廃材のアップサイクルプロジェクトに参加しました。
かつてこの小学校に通っていた卒業生の方々も多く集まり、実際の声や雰囲気を感じながら、思い出が詰まった材をどう活かせるかをみて、考える中で、様々な発見や感じるものがありました。また、同じく参加されておられた、建築家や家具職人といった専門家の方々の視点にも触れることができ、多くのことを学べる貴重な機会となりました。
思い出と素材を受け継ぎつつ、高島平の未来へと着実につなぐことを目指したプロジェクトのあり方は、地域の記憶や次世代へのつながりを形にする大きな意義があると感じます。こうした取り組みがもっと各地に広がっていってほしいし、自分自身もまた、関わっていけたらと思いました!