研究室紹介(植物二次代謝研究)

植物二次代謝

植物は動物とは異なり「その場から動かない」という戦略をとったため、外部からの刺激に対して、多種多様な代謝物を生産して環境に適応しています。これらの代謝物の多くは植物の二次代謝産物と呼ばれる化合物に分類されてます。 二次代謝産物の中には、香料、薬、嗜好品、さらには染料やゴムなど、人に有用な物質が数多くあります。そのため、従来から植物の二次代謝に焦点をあてた研究は、基礎、応用の両面から活発に進められており、物質そのものの生合成機構、植物体内での生合成過程、さらには各物質の生理機能や、生態的役割まで、多様な研究が進められています。

身の周りには様々な植物がいる
植物は多様な代謝物を作る

代謝物の分布の解明(一細胞メタボロミクス)

植物の二次代謝に関する研究は酵素の探索やその機能解析というのが主流でした。また、細胞分子生物学の発展とともに、植物の中で二次代謝に関わる酵素がどこに局在するかということも徐々に明らかにされてきています。植物内でこの二次代謝がどのように制御されているのか、特定の場所で生合成されなければいけない理由は何なのかという問いについて調べるためには、二次代謝の空間的な制御機構の詳細を知る必要がありますが、酵素の基質となる代謝物が組織のどの細胞種に局在するかの情報はこれまでほとんどありませんでした。我々の研究室では質量分析計を用いた測定技術であるSingle cell MS法などを用いて代謝物の局在を細胞やオルガネラレベルで明らかにしようとしています。

 また、細胞内代謝物を測定するため新規の質量分析技術の開発にも取り組んでいます。

Single cell MS 手法 
Imaging MS 手法

植物がどのように代謝を制御しているかの研究

分子生物学・生化学などの手法を用いて、新規酵素を同定したり、その遺伝子の植物内での機能も解析しています。実験材料は非モデル植物となるものが多いので、異種発現系を用いた酵素の同定、一過的過剰発現やノックダウンを用いた実験手法を用いています。