本研究は,教師と人工知能とが協働で学習者を支援する教育環境を実現するための研究です.本研究では,サイバーセキュリティ教育を対象としています.本研究は,富士通株式会社と株式会社富士通ラーンングメディアとの産学連携で取り組んできました.
本研究では,富士通株式会社の独自のサイバーレンジである「CYBERIUM」の中に,私が開発したデータ収集のシステム(キーロガー,マウスロガー,プロセスロガー等)を導入して,受講生のパソコンの操作ログを収集しています.収集されたログは,中央サーバーに集められて,演習中の受講者の学習状態がリアルタイムに解析されます.教師は,教育経験による「直感」と人工知能が解析した結果を比較しながら,演習中に支援が必要だと思われる学生をサポートしていきます.
九州大学医学研究院と連携して,放射線治療教育の支援システムを開発しました.
放射線治療を行う際に,放射線治療技師は,患者の癌細胞に正確に放射線を当てるために患者のセットアップをトレーニングする必要があります.しかしながら,実際の放射線治療の機器は,ランニングコストの高さや実際の患者さんへの利用のために実機でのトレーニングは難しいという問題があります.そこで,VRの技術とセンサーの技術を利用して,セットアップトレーニングのシミュレーションを体験できる教材を作成しました.このシステムを実際の教育現場で利用して,評価実験を行い学習効果があることが確認されました.
本研究は,図書館の利用方法を学習のためのインフォーマルラーニングの研究です.本研究では,図書館の利用方法を学習するための体験型教材をモバイルアプリで開発しました.本アプリは,実際に図書館で文献を探したり,論文を探したりする体験型のゲームを通じて,図書館の利用方法を学んでいくアプリでした.本アプリは,実際に九州大学の図書館で運用されていました.
本アプリの学習効果を測定するために,本アプリを利用したグループと,eラーニングのみを受講したグループとで分けて,受講者の学習効果の測定を行いました.統計分析の結果,学習の意欲や知識の定着度などの指標において,本アプリを利用したグループの方が,高い効果を得ていることなどが明らかになりました.
本研究は,グループ学習における社会的存在感を可視化する試みです.CSCL (Computer-Supported Collaborative Learning)に代表されるようなグループワークでの学習においては,メンバーとの関係性が学習意欲に大きく影響するという先行研究などがあります.そこで,コミュニケーションメディアを介した他者との関係性を表す指標として,社会的存在感の指標を導入し,グループチャットの内容を分析して,グループの他者との関連性がどのようになっているかを可視化しました.
このような可視化を行う事で,教師は,コミュニケーションがうまくいっているグループとそうでないグループなどを把握する事が可能になります.
本プロジェクトで,私は自然言語処理の担当を行いました.グループチャットに投稿された文章の自然言語処理を行い,社会的存在感の18の指標のうちどの指標が活性化しているかを分類しました.それらの結果をフロントエンドに投げて可視化を行なっています.
九州大学比較社会文化研究院と連携して開発した論理的思考を養うための教材です.
上の図は,ディベート教育などで利用されているトゥールミンモデルをわかりやすくグラフ化したもので,主張に対する根拠や反論などをモデルに合わせて書き込んでいく事で,論理的な思考を訓練していくものです.
下の図は,選択肢として現れている文章同士がどのような関係性にあるのかをブロックと矢印の組み合わせで表して論理的な文章の関係を作るという教材です.
本プロジェクトで,私はシステムの開発を担当しました.
福岡市とNPO法人福岡城市民の会の方々と一緒に鴻臚館の歴史を学習する教材を開発しました.平安時代頃の鴻臚館を再現した3DCGとVRの技術を利用して,VR空間の鴻臚館を歩き回ることができます.また,鴻臚館内を歩き回りながら,各場所でどのような用務が行われていたのかを学ぶことができます.この教材は,福岡市博物館で展示されました.
九州大学人文科学研究院と連携して,平安時代の宮中の儀礼を学ぶ教材を作成しました.平安時代の宮中の儀礼は,漢文で儀礼の内容が記録されていますが, 文字だけの説明なので実際にどのように儀礼が進められていたのか内容が頭に入りにくいという問題があり,それを解決するために,アニメーションで宮中の儀礼を確認できる電子教材を作成しました.この教材は実際に九州大学の講義の中で使用されました.
本プロジェクトで,私は平安時代の紫宸殿を再現する3DCGのモデリングを担当しました.平安時代の紫宸殿の図面や大和絵などを参考にして,CADで紫宸殿を再現しました.
九州大学人文科学研究院と西南学院高等学校と連携して,漢文の電子教材を開発しました.漢文は,文字だけで説明がなされるので,内容が頭に入りにくいという問題があり,その問題を解決するために,漢文の内容に一致したアニメーションが流れる電子教材を開発しました.このアプリは,実際に西南学院高校の講義で使用されました.
本プロジェクトで,私はアプリのプログラミングを担当しました.
位置情報に紐付けて英単語を学習する事ができるゲームアプリです.陣地を制圧できる場所に実際に移動すると,その場所に関連のある英単語のテストが出題されます.テストに回答すると陣地を制圧できます.陣地を多く制圧したチームが勝ちになります.本教材は,実際に講義で使用して学習効果を測定しました.
位置情報に紐付けて英単語を覚える事で,記憶の定着を図る狙いがあります.また,ゲーム形式にする事で学習意欲の向上を図る狙いがあります.
本アプリは指導していた学生が開発しました.私はサーバーサイドの開発を担当しました.
グループで楽しみながら医学の勉強ができるゲーム教材「アナトミーアドベンチャー」を開発しました.双六形式のゲームで,先にゴールに辿り着いたプレイヤーが勝者です.特定のマスに止まると,医学に関する問題が出題されます.
みんなでゲームを楽しみながら学習を行う事で,学習意欲を向上させる狙いがあります.
本アプリは指導していた学生が開発しました.私は,ゲーム内に登場する3Dモデルのモデリング等を担当しました.
拡張現実の技術を活用して,ネットワークの情報を可視化する研究です.
私達の目は,情報機器同士が通信しているネットワークの情報を見ることはできませんが,画像処理やセンサーなどの技術を利用する事で,目には見えないネットワーク情報を可視化することができます.
この実験では,Microsoft HoloLensを利用して,機器の認識とネットワークパケットの解析処理を同時に行い,機器の場所にコンピューターグラフィックスで解析結果のパケットの内容を表示しています.機器の場所に紐づいた形でネットワークパケットの可視化を行う事で,サイバー攻撃の傾向などをより把握しやすくすることを目的としています.
ブロックチェーンの技術を利用して,様々なアプリケーションを作成しています.特に,当事者間で自動的な取引を実現できるスマートコントラクトは,非常に面白い可能性を持っている考えています.
この研究は,スマートコントラクトを利用した交通シミュレーションです.目的地に早く着きたい車は,前の車にお金を支払って道を開けてもらう事ができます.このような価値の取引を行う事で渋滞を緩和する事が可能かシミュレーションしています.
ブロックチェーンによるスマートコントラクトを利用して,分散計算を行う研究に取り組んでいます.分散計算を行ったノードには,対価として報酬が支払われるようになっています.
ブロックチェーンの技術を利用する事で,分散計算の計算過程において不正な結果などを送信する事は出来ません.また,仕事をした事がスマートコントラクトにより保証されているので,報酬を不正に受け取る事は出来ません.このようにブロックチェーンの技術を利用する事で,これまでのボランティアコンピューティングのサボタージ問題などを解決しています.
3次元モデルを構成するポリゴンのセグメンテーション処理や形状変形処理を行いました.形状の曲率などの情報を利用して,顔や体などのパーツを自動的にセグメンテーションしています.
また,2つの3次元モデルのモーフィングする研究にも取り組みました.2つのモデルに対して,セグメンテーションされた部分を基に骨格を作り出して,それぞれの骨格情報をマッピングしています.マッピングされた骨格の部位同士で頂点移動を行いモーフィングをしています.
顔表情や動作や発言内容から感情を可視化する研究に取り組みました.顔表情や動作からの感情認識には画像認識の技術が利用されています.発言内容からの感情認識には,自然言語処理の技術が利用されています.これらの認識結果を基に,CGの技術を利用して,リアルタイムに感情の可視化を行いました.