1981年 生まれ
2004.3 大阪府立大学(現大阪公立大)工学部 情報工学科 卒 当時の専門はニューロコンピュータ(端的に言うとAI(人口知能))
2004.4~2022.3 高等学校数学科教諭(内 主幹5年)
2022.4~ 特別支援学校教諭
(知育玩具インストラクター2級、数学検定準1級(計算技能1級、数理技能準1級)、謎解き検定3級)
はじめに ~「遊び」とは~
ヴィゴツキーは、「子どもは遊ばなければならない」と言いました。また、遊ぶのは「最近接領域(発達の少し先)」を獲得するためだとも言いました。一方、人間の発達には順序性があり、飛び級はできないと言われています。つまり、幼少期に充分な「遊び」を経験しておかないと、大人になっても発達に凹みができてしまうと言えます。その凹みは「社会性」や「コミュニケーション」という人間社会で生きていくために必要な力の部分に生じます。昨今、子どもたちの遊びの形態が大きく変化しました。外遊びの減少や成長と比べて早い段階のスマホの所持です。大人になってからできた凹みを埋めるには、発達の順序性がある限り、「遊び」から再度始めなければなりません。つまり、大人にも「遊び」が必要な場合もあるのです。
ヨーロッパの知育の世界では、
「遊び」=秩序のあるもの(ルールの守り合い)
です。無秩序なものは「遊び」には分類されません。
また、
「遊び」→「学び」
です。日本では、「遊び」は「学び」とは反対の意味で捉えられることがありますが、そうではなく、ここでの「遊び」は「学び」につながるものです。
大人は、そのような良質な「遊び」を、子どもたちに提供しなければなりません。
執筆(東書Eネット (tokyo-shoseki.co.jp) 資料検索➡「ボードゲーム」でキーワード検索してください)
・ボードゲームを活用した主体的・協働的で数学的な活動
・近代ボードゲームで失敗しない集団づくり
※閲覧には登録の必要あり(学校関係者しか登録できません)
ここでダウンロードできるゲームのカードをキレイに仕上げる方法です。
※一部、この方法に合わないゲームもあります。
学校現場でボードゲームを活用することで得られる効果はたくさんありますが、中でも一番は、学級崩壊の起きない安全・安心な集団を作ることです。
楽しい”遊び”を共有した仲間を、人はいじめたりしません。ボードゲームは基本的に一人では遊べません。だから一緒に遊べる仲間を尊重するようになりますし、自分を大切にするようになります。
ルールを覚える。ルールを守る。これが、社会性の基本です。
学校のルールが守れない子どもがいたら、まず一緒にボードゲームで遊んでみてください。もし一緒に遊べたら、「ゲームのルールを理解できたこと」、「ルールを守れること」を褒めてください。そうすることで、ルールを守る習慣づけができます。ですので、はじめはその子ができるレベルのルールのものを選びましょう(これが難しいのですが・・・)。
ポジティブ行動支援でいじめの起きない学級づくり
私自身は、学級経営の中で、子どもたちに「いじめをしてはいけません」と言ったことはありません。そんなことは子どもたちもわかっています。私は、それを言う代わりに休み時間や学級活動や教科指導の合間にボードゲームに取り組ませます(というか一緒に遊んでいます)。ボードゲームに取り組んでいる間、カーストがなくお互いが対等の関係性になりますので、その間いじめは起きません(というか起きないゲームを無意識に選んでいるかも)。「△△してはいけない」という代わりに、その行為ではない望ましい行動をするように仕向けて行く支援方法を、ポジティブ行動支援と言います。ボードゲームで遊ぶことはポジティブ行動支援にもなります。
教員がルール説明等の進行をしつつ、ゲームにも参加することがおすすめです。ちなみに、もし勝っても尊敬はされません。負けても威厳はなくなりません(負けたときに、素直に負けを認める方が尊敬されるかも。)。大人の役割は、ルール・遊び方・ゲームの魅力を伝えることです。
学校現場は非常に忙しい状況ですが、学級経営にボードゲームを取り入れて集団づくりをすることで、クラスの人間関係がよくなり、問題が起きにくくなり、先生方の仕事は減ります。そして何より、教員という仕事が楽しく思えるようになるでしょう。
不思議な生物「ぽよぽよ」
フルーツハントをさらに遊びやすくアレンジ!4歳からできるポーカー!
役は”すべて同じ色”と”すべて同じ「ぽよぽよ」”
~正方形四目並べ~
以前作ったゲーム「DOZODOZO」にストーリーを少しつけてみました。遊び方PPは「DOZODOZO」を参考にしてください(下にスクロールするとあります。)
もし、長期戦で楽しみたいなら、完成した正方形の面積を得点とすると面白いかも。正方形が傾いていても面積が整数値になることは証明済です。
~魔法使いの知恵比べ~
四色の泉に少しストーリー性を持たせました。四色問題がテーマの陣取りゲーム!
ラッキーナンバーというゲームのルールをそぎ落として、紙とペンで大人数で遊べるようにアレンジしました。戦略的なビンゴっぽいゲーム。先の見通しを立てて数字を配置します。正20面体のサイコロが必要です。セリア等でTRPG用のダイスを買うか、次のExcelファイルを活用してください。もちろん1~20まで数字を書いたカードを引いてもOK
正20面体のサイコロの代わりにお使いください。学校の授業等で扱う場合は、プロジェクタで映してみんなで共有すると盛り上がります。
アンラッキービンゴの遊び方PP
ビンゴカードを使ったパズルもあります!
ビンゴカードを使った陣取りゲームです!
印刷して、鉛筆で塗ってプレイすることもできます!
大人気テレビ番組「バナナサンド」でおなじみの「あたまおしりゲーム」。あたまとおしりの文字をランダムに決めると、全然単語が思いつかないことも少なくないので、ルールを調整してみました。カード不要。白い紙とペンがあれば遊べます。
1~50までの数字を振ったカード(片面)。イラストもランダムでつけています。
情報の授業でソートアルゴリズムを考えるためにつくりました。
①班(4~10人)にカード1セットずつ配付
②カードをシャッフルさせる
③班同士でカードを束ごと交換
④「用意、はじめ」でカードを1から昇順の50までの束にソートする。早いチームから高得点を与える。
⑤15分間、作戦タイム
⑥再度、②から④までを行う。
⑦表彰式と、立てた作戦の発表(パチパチパチ)
イラストを使って「ヒントをいいます」のように遊んだり、数字を使って「ザ・マインド」のように遊んでも楽しめるかも。
近隣のおもちゃ屋さん、図書館、託児所などで好評をいただいている陣取りぬりえゲーム「四色の泉」をもう少し丁寧に解説した冊子版です。冊子にする目途は立っていませんが・・・(汗)。ゲーム盤として泉だけでなく、「四色の虹」、「四色の宝石」も追加しています。
縮図について学んだあと、その知識とコンパスと定規を使ってグループで謎解きをする教材です!
方角の覚え方と数の範囲を学んだあと、グループで協力して遊びながら宝を探す謎解きゲームをします。
解答です。
のあそびかた
+マップシートとマップカード
地図を見ながらスタート地点から目的地までの道案内をするゲームです。楽しみながらできるコミュニケーショントレーニングとして。
目的地カードです。案内役だけがこっそりと確認します。
フレーベルの模様折り紙メモリーの青一色バージョンです。2部印刷してご使用ください。遊び方は神経衰弱など、フレーベルの模様折り紙メモリーを参考にしてください。
進みたい歩数を全プレイヤー同時に宣言し、かぶった(バッティング)ら進めないすごろく。サイコロも使わずお手軽です!
手番に2個碁石を置くルールにすることで、アレックス・ランドルフの「DOZO(どうぞ)」を正方形型にすることに成功しました。数学の授業のグループワークでどうぞ。
4つの碁石で正方形を作る変則型の四目並べです。ななめの(回転した)正方形を作ってもよく、一次関数のグラフの直交条件や動点の問題を考えるための素地ができることが期待できます。が、そんなことは考えずに、まずは遊びましょう!
本当はアレックス・ランドルフの「DOZO(どうぞ)」の正方形版を作りたかったのですが、ルールを調整していたら別物になってしまいました・・・。
2人用ですが、1色足して3人でもできるのか、いずれ試してみます。
こちらはゲームではありませんが、複数回ゲームをするときの得点記録用に、切り離してお使いください。大阪バージョンの紙幣です。
4色のぬりえで陣取りゲーム!
数学の四色問題をモチーフに対戦型の陣取りゲームにしました。数学が苦手でも楽しめます!
※2~3人プレイとしていますが、4人でも楽しいです。
※3色しばりでも遊べます。
数の範囲(より大きい、小さい、以上、以下、未満、倍数、約数)を使った数字当てゲーム!
算数や数学のグループワークにどうぞ!
縦半分に折って貼り、緑線で切る
「シークレットナンバー」というゲームを、トランプを使って、数の範囲を学ぶためのゲームとして調整したものです。遊ぶ場合トランプ1スート分13枚が必要です。
トランプ1~13の数字を各自持って、自分の手番には、自分の数字についてヒントを1つ言わなければなりません。ヒントを言う代わりに他のプレイヤーの数字を当ててもOK。当てたら得点ですが、外すとペナルティで自分の数字のヒントを2つ言います。
フレーベルの模様折り紙をメモリーゲームにしました。同じ折り方がペアで存在します。
中央線で折り貼り付け、黒線で切り取ってください。
主な遊び方①「スピード神経衰弱」
全カードを裏向きで場に広げる。
1枚ずつ表向ける(裏向きに戻さない)。
同じ折り方(色は問わない)を見つけたら、それを早い者勝ちで取りましょう!1人で2枚取っても、2人で1枚ずつ取ってもOK!
主な遊び方②「この模様どれだ?」
2枚セットのうち1枚ずつ(計15枚)を表向きに場に並べる。
残りは裏向きの山札にする。
手番プレイヤーは裏向きの山から1枚とり、自分だけその模様を見る。
手番プレイヤーはその模様を口頭で説明して、他のみんなにどの模様か当ててもらう(表向き15枚から選ぶ)。
折り方の異なる15種類2枚ずつ
遊び方
脳トレになるゲームです!
縦半分に折って貼り、緑線で切る
印刷し、縦半分に折って貼り、緑線で切る。
①すべてのカードを裏向きで混ぜ、山札とする。順番を決める。
②手番には、山札から1枚めくる。ねこカードを引いたら手番終了。チーズであれば、引き続きめくることができるが、ねこカードを引いたらそのターンでめくったカードはすべて捨て札にし手番終了。ねこカードを引かずに手番を終える場合は、その手番にめくったチーズカードすべてゲット。
③山札がなくなったとき、チーズが多い人が勝ち!
遊び方はチーズどろぼうとまったく同じ。テーマだけ変えたバージョンです!
印刷し、縦半分に折って貼り、緑線で切る。
遊び方は基本的に「チーズどろぼう」と同じ。ただし、特殊カードを3種類追加しています。
2024年 第2回インクルーシブ教材コンテスト 第1次審査通過!
これなんだ?
の遊び方
※裏面はゲームでも使用
これなんだ?
の遊び方PP
これなんだ?
おだいカード
①縦半分に折って貼り付け
②緑線で切り取り
これなんだ?
しつもんカード
①2部印刷
②縦半分に折って貼り付け
③緑線で切り取り
おだい一覧
あそびかたは上の「これなんだ」をみてね
「これなんだ2」に合わせたしつもんカード
使用カード プロトタイプ
「これなんだ」のお題を「1~13の数字」に!
質問を数の範囲(●より大きい、小さい、以上、以下、未満、倍数、約数、素数)に!
算数や数学のグループワークにどうぞ!
遊ぶ場合、トランプを用意してね
これなんぼ?の遊び方PP
片面1枚の脱出ゲーム 8月号 妖怪編
解答は
#片面1枚の脱出ゲーム@X
で見てね
片面1枚の脱出ゲーム 9月号 新学期編
片面1枚の脱出ゲーム 10月号
ハロウィン編
片面1枚の脱出ゲーム 11月号
七五三編
片面1枚の脱出ゲーム 12月号
クリスマス編
片面1枚の脱出ゲーム 1月号
お正月編
片面1枚の脱出ゲーム 2月号
節分・バレンタイン編
準備
①A4用紙に印刷 ②半分に切る ③半分に折るとカード完成
④番号順に山札にして、上から読み進めよう!
2023年 第1回インクルーシブ教材コンテスト 第1次審査通過!
フルーツハント
の遊び方
①縦に半分に折って貼り付ける
②緑線で切ってカード完成
③ラミネートをすると遊びやすいよ!
同僚が麻雀風ルールを考えてくれたので追加しています。使用カードは同じです。ゲーム性が高くて面白くなっています。得点計算用にポーカーチップがあるとよいですが、なければメモでも、このページにあるゲーム用紙幣を印刷してもよいです。
フルーツハントのどうぶつ版です。同じように遊べますが、カラーは1色減らして枚数も減らしていますので役の強さは考えないで遊びましょう。どうぶつの図柄は5歳児が考えたものです。
①名刺サイズ10枚のマルチカードに100%で長辺綴じの両面刷りしてください。
ことわざのひらがな部分(読み札)だけ読んで、漢字部分(取り札)を取るカルタです。
難易度的には、ちょっと難しいです。ことわざ自体についての事前学習が必要です。
2023年 第1回インクルーシブ教材コンテスト応募作品
ボードゲームが難しければ、知育玩具を活用してみましょう。ヨーロッパの積み木(カプラ、ネフシュピール、キュボロなど)は自己肯定感を高めます。と言っても非常に高価なので、フレーベルの模様折り紙(下部にパワポあり)などがよいかもしれません。積み木や折り紙で、それぞれが自由に(ある程度のルールの中で)独創的な創作をすると思います。そして、その活動中、子どもたちは自然と、たくさん褒められます。具体的にたくさん褒められることで子どもたちは自己肯定感が高まります。また、大人は子どもたちの創造性に驚かされます。
ここから下は、既存ゲームのインスト用スライドです。授業で扱いやすいよう、一部ルールを変えている場合がありますので、ご了承の上、ご使用ください。
ドメモ
by アレックス・ランドルフ
の遊び方PP
Neu(ノイ)
by おもちゃ箱icarus(日本)
の遊び方PP
いちご王国カレンダー
by Dig A Doo
の遊び方PP
ドブル(井戸掘り)
ホビージャパン
の遊び方PP
数学
ドミノ牌によるマスの敷き詰めPP
ドミノの倒さない遊び方
一番簡単ルールPP
フレーベルの模様折り紙PP
ドブル(アツアツポテト)
ホビージャパン
の遊び方PP
百均のどうぶつメモリーカードでできるゲーム6選
お邪魔者の遊び方PP
カタカナーシ(ボブジテン)の遊び方PP
キレイがきらい の 遊び方PP
そっとおやすみ の 遊び方PP
ブロックスの遊び方PP
レシピの遊び方PP
ワードスナイパーの遊び方PP
犯人は踊る の 遊び方PP
フレーベルの模様折り紙の折り方例
※まずはフレーベルの模様折り紙PPを見てね!
アレックス・ランドルフの「DOZO(どうぞ) の 遊び方PP
ペニーワイズ の 遊び方①PP
ペニーワイズ の 遊び方②PP
3coinsで売ってるcoinセットver.
トランスパレントペーパー(透ける折り紙)でフレーベルの模様折りによる透かし飾りを作る場合のコツです。
準備中
準備中
短い休み時間で遊ぶにはルールが簡単であってほしい!そこで、そもそもスライドが必要ないくらい簡単なルールで盛り上がるゲームを紹介!
左:ストライク
サイコロを使ったチキンレース(バースト)系
上:クラック!
サイコロが表すコインを急いで集める。しかも磁石でくっつく!
下:スティッキー
棒が倒れないように抜く!
右上:クラスター
磁石がくっつかないように輪の中に置く!
居場所とは何か
ある学校には「相談室」という部屋があります。しんどい子どもの居場所として作られたけれど、まったく使われていませんでした。しんどい子どもは減らず、さらなる居場所づくりのために、次は「教育相談室」という部屋も作りました。もちろん誰も相談にきません。なぜなら、居場所とは、「場所」のことではなく、「コミュニティ」のことだからです。「無人」の相談室に誰がくるものでしょうか?コミュニティを作らなければ意味はないのです。人は社会的な生き物です。人の居場所とは人と人の間の関係性の中にあります。安心・安全な人間関係はすべての教育活動の基盤です。それは、良質な遊びによって作られます。 あそぼう!まずはそれから!
Q & A
Q.デジタルゲームではダメなのか?
A.あまりオススメはしません。ICTを活用して、個別最適化や反復演習を通じて「知能を高める」方法はありますが、「コミュニケーション力」を高めるには依然アナログゲームが効果的であり、デジタルゲームは相反するものだと言えます。サッカーを例にとると、デジタルゲームのサッカーでは、ボールがコートの横から外に出たら自動的にスローインになります。コンピュータプログラムが自動で進行し、参加者はルールを強制的に守らされます。一方、公園でサッカーをすることを考えてみましょう。まず、子ども同士でコートの大きさを相談します。ボールが外に出たら、スローインにするかキックインにするか、ゴールはどうするか。すべて子ども同士の合意形成によって決められ、自分たちで決めたルールを主体的に守り合い、合意形成をしながらプレイすることになります。
Q.予算がありません
A.ある意味そのためにこのサイトを作っているので、ぜひ印刷して使っていただきたいのと、最近は百均にも使いやすいカードゲームがあります。また、動物の絵柄のメモリーを使っていろいろなルールで遊ぶこともできます(上から探してね)。また、幻冬舎の「はあって言うゲーム」「カタカナーシ」、永岡書店の「ワードスナイパー」、シルバーバックの「3ヒントで学ぶ!どうぶつカード!」などは、ISBNコード(書籍コード)がついています。これらは書籍扱いなので、書店で取り寄せて学校図書室の本として登録できます。学校司書の方に相談してみましょう。
Q.取り組んでくれません
A.無理に参加させずに、まずは見学してもらいましょう。ルールがわかる自信がなくて参加したくないケースがあります。それでも無理な場合はゲームを変えましょう。発達段階や性格的に合わないゲームもあります。その子のお気に入りを見つけてあげてください。
Q.ルールは厳密に説明すべきなのか
A.ギリギリ遊べるぐらい、例えば6割ぐらい説明して、残りは遊びながら説明しましょう。いきなり全ての場合のルールを厳密に説明すると、覚えることが多くなり、ついていけなくなります。一回目はルールを覚えるための練習で構いません。 したがって、ここで共有しているインスト用スライドもルールをすべて説明はしていませんのであしからず・・・。
Q.ルールは厳密に守るべき?
A.ルールブックを読んでもよくわからない状況は起こりえます。そんな時は参加者の中で、「こういうときはどうするのか」を決めても構いません。参加者の中で合意形成が出来ており、ゲームが成立すれば大丈夫です。現実に「大富豪」などは地域特有のルールがあったり、「UNO」も正規のルールで遊んでいる人は少ないのです。合意形成を学ぶよいチャンスと捉えましょう。
Q.なぜボードゲームで安心安全な集団がつくれるのか
A.ゲームの中でみんなが対等だからです。そこにはカーストがないのです。したがってスクールカーストのようなものがある学級では大きな効果があります。 また、ボードゲームは1人では遊べませんので、一緒に遊べる仲間を大切にするようになります。ゲームの進行中はお互いを助け合う様子も見られます。
Q.学力は上がるのか
A.筋トレをしたら速く走れるようになるように、脳トレをしたら思考力は高まりますし、コミュニケーションをとる中で、言語表現・言語理解の力は高まるでしょう。ゲームの説明書を読んで理解し、他のプレイヤーに教えたり、戦略を考える中でプログラミング的思考(アルゴリズム思考(仕組みを理解する力))も身につきます。ちなみに同じゲームを繰り返しするより、いろいろなゲームをした方が脳が活性化するらしいです。でも、楽しむことに集中した方がより効果的なので、あまり学力について意識する必要はありません。また、あまり学力を上げようとして学習用のゲームばかり取り組ませると失敗するかも。子どもが楽しめることを重視しましょう。
Q.療育効果があるのか
A.ありますが、苦手分野を克服するために苦手分野のゲームをすると、結果的にゲームが嫌いになってしまうかも。やはり、まずはその子が楽しめるものから始めましょう。はじめは得意分野のゲームから始めて、「これならできる」という気持ちを持ってもらう方がよいと思います。例えば、緘黙やコミュニケーションに課題がある場合は、数字を言うだけで遊べる「ドメモ」、単語を言いながらカードを出すだけで遊べる「ドブル」あたりから始めるのが良いと思います。そして、他の大人にルール説明をさせてみましょう。意外とできる場合があります。”しゃべれない”にも、「何もしゃべれない」、「単語は言える」、「返事はできる」「定型句は言える」、「話す内容(ゲームのルールなど)が決まっていれば話せる」、「実物を操作しながらなら教えられる」、「台本通りには読める」など、いろんなレベルがあります。できることが増えると、自己肯定感が高まり、コミュニケーションに自信がつくと、次第に話せるようになることがあります。また、話すこと以外に、「自己決定」の習慣づけにも効果的です。その場合、運だけのゲームでなく、自分の手番に行動を選択できるようなゲームが良いでしょう。
Q.どんなゲームが学級の集団づくりに有効か
A.実は、ボードゲームをする上で一番難しいのが、そもそもどのゲームをするのかという「選定」です。はじめは、ここで紹介しているゲームをするのが無難だと思います。グループづくりや予算の都合上、プレイ人数が3人以上で幅のあるもの。ルールが簡単で全員取り組める、対象年齢は4から6歳以上のものが無難(それ以上でも良いモノもあります)です。運要素もあり、誰にでも勝つチャンスがあるものがよいです。したがってオセロや将棋は実力差が出やすいので私は使いません。 私は「犯人は踊る」や「インサイダー」などの簡単な正体隠匿系のゲームをはじめにすることが多いです。相手の気持ちを考えながらするゲームなので”思いやり”が育ちます。相手の表情と気持ちが必ずしも同じではないことを経験することで、騙し合いのゲームなのに、”思いやり”が育ちます。
Q.「ひとりでいるのが好き」な子もいるのでは?
A.休み時間にゲームに誘っても頑なに参加しない子もいます。一人で過ごしたい場合もありますが、本人が「ひとりが好き」と言っているからこの子は「ひとりが好き」なんだと判断するのは違います。この場合、大きく2パターンあって、ひとつは「安心できる居場所が確立してるから休み時間はひとりで平気」、つまり「ひとりぼっち」じゃないからひとりで平気。この場合は心配はありませんね。心配なのはもうひとつのパターン。人とのコミュニケーションに苦手意識が強すぎて「ひとりで居たい」場合です。この場合は本心では「ひとりで居たい」とは思っていません。 あなたもあるでしょう?「好き」なのに「きらい」って言ったことや、「大丈夫じゃない」のに「大丈夫」って言ったこと。子どものことをよく観察しましょう。
Q.プレイセラピー(遊戯療法)として使える?
A.大いに使えるでしょう。私見ですが、ボードゲームによらず何かに没頭することで、その間心理的不安などから解放されるようです。人狼ゲームが好きな人は人狼ゲームをしている間、性格が豹変する場合があります。自分に与えられた役割を演じ(ロールプレイ)、没入する(イマ-シブ)ことで、その間、辛い記憶から解放されるようです、TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)なども着目されているようです。TRPGには少し技術が必要に感じますので、私のおすすめは「犯人は踊る」「お邪魔者」などの正体隠匿(自分の役割を隠しながら遊ぶ)系のゲームです。本人が楽しめるものをするのがよいでしょう。
Q.どのゲームを渡しても子どもが全然遊ばない
A.大人がゲームのルール説明をして進行する・ゲームの魅力を伝えることが前提です。ボードゲームはヨーロッパの知育玩具です。ヨーロッパの知育玩具は大人が「遊び」を通じて子どもの発達を促す道具です。子どもだけでは基本的に取り組みません。子どもがひとりだけで遊ぶおもちゃとなると、デジタルゲームになります。デジタルゲームはプログラムがゲームを進行してくれます。賛否ありますが、教育効果は、どのような目的で、どのようなゲームをさせるかによります。光の刺激が強く、視線の動きも小さくなり健康にはよくない面もありますので、私はわざわざオススメはしません。
Q.あそんでばかりで落ち着きのない子どもに育つのでは?
A.逆です。楽しそうに遊んでいるだけに見えて、実はちゃんとルールがあり、ルールを守り合うことで遊んでいるので、ルールを守る子どもに育ちます。「遊び」にもルールがあり、そのルールを守らない人がいると、「遊び」は楽しくなくなります。ボードゲームは実はルールを守る習慣づけになります(これは数学の問題を解く力にすらつながっています。計算のルールを覚えずになんとなく解き方をうろ覚えで数学のテストに臨んでも、高得点は取れません。そのような人はひっかけ問題にことごとく引っ掛かりますからね。)。ドイツでボードゲームが盛んなのもルールを守る国民性があるからだと考えられます。
Q.「騙し合い」のゲームをすると、人を騙すようにならないか?
A.不思議なのですが、これも逆です。あくまでルールの中で騙し合いをしているので、やはりルールを守る行為になっています。日常生活で人を騙すようにはなりません。ゲームの中で嘘がばれる経験もしているからかもしれません。
Q.なぜ学校でするのか。家ですればいいのでは。
A.家でゲームをする場合、特定の特に仲の良いメンバーですることになります。学校であれば、普段しゃべらない相手とも同じ班になって話すことで、よりコミュニケーション力が増し、社会人基礎力が身に付きます。また、集団に入る自信のない子も、学校の授業の一環という強制力(あまり強すぎてもしんどいですが)が集団参加へ背中を押してくれます。結果、学級という集団が居心地のよいものになります。ルール説明においても、学ぶ姿勢で聞いてくれますので、少々難しいルールでも理解しやすくなります。ただし、ルール説明する教員側は授業のつもりでしっかりインストの準備をしましょう。
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