基本的な理念は、「好きなことを好きなように勉強する」です。
何はともあれ、出題範囲を把握しましょう。
まだ読まれていない方は、一度目を通しましょう。『日本心理研修センター』の下記WEBページから、ブループリントがダウンロードできます。
http://shinri-kenshu.jp/topics/20180308_3678.html
さて、さっそく勉強をするわけですが、まずは得意分野ないし好きな分野を見つけましょう。こうした分野は知識を伸ばしやすく、ここで見つけた得意分野や好きな分野を軸に、これからの勉強を進めていきます。
「自分には得意分野がない。好きな分野もない」という方は珍しいとは思いますが、そういう方は今からでも遅くはありませんので、得意分野を作りましょう。
公認心理師として働く上で、何らかの専門性は必要です。
つぎに、得意分野を伸ばしましょう。
たとえば、ブループリントの大項目における「心理に関する支援」のうち、「認知行動療法」が得意だったとします。関係してくるのは、「古典的条件づけ」や「オペラント条件づけ」などです。
こうした部分についての学習は、それまでの蓄積があるため、学び直すのに時間も短くて済みます。
※条件づけの話は大項目「8学習及び言語」にあります。
そして、得意分野と関係してくる分野に、視野を広げてみましょう。
たとえば「認知行動療法」は、不安症・うつ病・強迫症などに対して施されることの多い心理療法ですので、「健康・医療に関する心理学」のうち、関連する精神疾患に触れていくと、理解が進みやすいでしょう。
ついでに他の精神疾患も覚えていけば、周辺分野の理解がより一層、深まっていきます。
こうして知識を紐づけて、関連させ、頭の中に情報のネットワークを作っていきます。そうすると物事を覚えやすいですし、現場でもすぐに思い出せます。こうした記憶の定着を「精緻化リハーサル」と言います。
※記憶の話は大項目の「7知覚及び認知」にあります。
上記までの過程をくり返していると、知らない分野が減ってきます。大項目の半分以上をある程度網羅出来たら、順調だと思います。
一方で、勉強が進まない分野が出てくるかもしれません。これまで、あまり触れてこなかった部分は、勉強が進みにくいものです。苦手分野とも言えるでしょうか。
そんなときは、苦手分野と勉強してきた他分野との繋がりを見つけましょう。必ずどこかで、それぞれの分野は繋がっています。
たとえば、大項目18の「教育に関する心理学」が苦手分野で、これまでに人格理論で有名な5因子モデル(ビッグ・ファイブ)を学んでいたとします。無理やりかもしれませんが、繋がりがあることはあります。
好奇心などを表す「経験への開放性」が5因子の1つにありますが、この特性は、学業成績と相関することが知られています。
このように、あれこれと知識を繋げていくと、ひとつの事柄から、非常に多くの連想を生み出すことができるようになります。
※特性5因子は大項目の「9感情及び人格」にあります。
「最初に計画を立てないの?」と思われるかもしれません。
私はやりながらで構わないと考えます。だいたいの場合、最初の計画通りには進まないからです。それなら、最初の一歩を踏み出すことの方が重要です。勉強しながら、自分のペースを掴みながら、少しずつ試験日まで調整していけば良いでしょう。
多くの人が勘違いしやすいところですが、計画は立てることに意味があります。守ることに意味はありません。ほとんどの計画は、長期的になるほど、その通りには進まないからです。
小さな計画は、立てやすく、達成しやすく、即時的です。心理的介入の中には、小さな計画を活用した「スモールステップ」という方法があります。すべてをスモールステップにするわけにもいきませんが、自分に合った計画に、小まめに調節していくことが、大切だと考えられます。
※スモールステップはTEACCHや行動分析学の中で使われており、大項目の「13障害者(児)の心理学」にあります。
いかがでしょうか。
これが私の考える「良い勉強方法」です。私を含めて、普通の方はすべてを記憶などできません。集中力もせいぜい1-2時間です。
それでも、やらなければならない時があります。
すべてを詰め込もうとせず、覚えようとせず、目標はとりあえずのものを置いといて、むしろ大いにこの機会を楽しんで、さまざまな知識のネットワークを作っていただけたら、良いのかなと思います。
そして願わくば、自分なりの勉強方法を見つけられたら、一番良いだろうと思います。これはあくまで私個人の勉強方法で、その人にあったやり方がきっとあると思います。
心理師たるもの、自分とのうまい付き合い方も、発見できるようになりたいものです。
NKRS代表 佐藤裕樹