ゲノム編集技術を用いたステイグリーンレタスの作出(カルス誘導)
本研究室は、高知大学農林海洋科学部に所属する伊藤岳の研究室です。
高知県は施設園芸が盛んな地域であり、本研究室でも主に施設栽培を対象とした研究に取り組んでいます。
蔬菜(野菜)を材料に、栽培現場に根ざした課題を出発点として、生育・品質・環境応答に関わる生理・分子機構を明らかにしています。
■ナス
ゲノム編集による半矮性台木を活用した高温期徒長抑制型ナス育苗技術の開発
夏の高温期には、ナスの苗が必要以上に伸びる「徒長」が起こりやすく、苗の品質低下につながります。本研究では、ゲノム編集によって半矮性の性質を付与したナス台木を作出し、高温条件でも徒長しにくい苗を育てる新しい育苗技術の開発に取り組んでいます。
白ナス果皮色形成に関与する遺伝子の解析
ナスには紫色だけでなく、白色や緑色など、さまざまな果皮色をもつ品種があります。本研究では、白ナスの果皮がなぜ白くなるのかを明らかにするため、果皮色に関係すると考えられる遺伝子のDNA配列を比較しています。品種ごとの遺伝子の違いを調べることで、ナスの果皮色が決まる仕組みの解明を目指しています。
高収量ナス農家の栽培管理技術の解明
高知県には、非常に高い収量をあげているナス農家がいます。しかし、その高度な栽培管理技術の多くは、長年の経験や感覚に基づいており、他の農家がそのまま再現することは容易ではありません。本研究では、高収量農家が植物のどのような変化を見て、水や肥料、整枝などの管理を行っているのかを明らかにし、経験の浅い農家でも活用できる生育指標や栽培管理技術の開発を目指しています。
■ピーマン
ピーマンにおける光環境によるアスコルビン酸(ビタミンC)合成制御機構の解明
ピーマンはビタミンCを多く含む野菜ですが、その含量は栽培環境によって変化します。本研究では、光の強さや波長などの光環境の違いが、ピーマン果実中のビタミンC含量にどのような影響を与えるのかを、生理学的・分子生物学的な手法を用いて解析しています。これにより、ビタミンC含量の増減を決める仕組みの解明を目指しています。
栽培環境および整枝管理がピーマン果実の収量や秀品率に及ぼす影響の解析
ピーマンの収量や果実品質は、温度や光などの栽培環境だけでなく、枝の伸ばし方や剪定方法によっても変化します。本研究では、栽培環境や整枝管理の違いが収量、果実品質、秀品率に及ぼす影響を調べ、より多くの高品質な果実を安定して生産できる栽培技術の確立を目指しています。
■トマト
水分管理による高糖度トマト栽培技術の開発
トマトは、与える水の量を適度に制限することで果実の糖度を高めることができますが、水分を制限しすぎると収量の低下や生育障害につながります。本研究では、土壌水分量に応じて灌水量を調節し、ミディトマト(中型トマト)の収量と糖度のバランスをとりながら、高品質な果実を安定して生産できる栽培方法の確立を目指しています。
■イチゴ
低コストなイチゴ簡易高設栽培システムの開発
イチゴの高設栽培は、作業姿勢を改善し、栽培管理を行いやすくできる一方、設備の導入には大きな費用がかかります。本研究では、身近な資材や簡易な設備を利用し、導入コストを抑えながら栽培や収穫作業を行いやすくする高設栽培方法について検討しています。
■スイカ
果実の大きさを考慮したスイカ収穫適期予測指標の開発
スイカの収穫時期は、一般に授粉後の日数や積算温度を目安に判断されます。しかし、小玉スイカでは大玉スイカに比べて成熟の進み方を予測しにくく、収穫時期の判断が難しい場合があります。本研究では、気温の積算だけでなく、果実の大きさや体積による温まり方の違いにも着目し、小玉スイカでもより正確に収穫適期を予測できる新しい指標の開発を目指しています。
■その他
葉の老化およびクロロフィル合成・分解制御機構の解明とステイグリーン野菜の作出
野菜の葉は、老化にともなってクロロフィル(葉緑素)が減少し、緑色から黄色へと変化します。本研究では、葉の老化やクロロフィルの合成・分解を制御する仕組みを明らかにし、収穫後も緑色を長く保つ「ステイグリーン」野菜の作出を目指しています。これまでに、ゲノム編集技術を用いて、通常よりも葉の黄変が遅いステイグリーンレタスを作出しています。
本研究室では、園芸育種学研究室(中野研)と実験室および培養室を共有しながら、 分子生物学的解析から栽培試験まで、一連の研究を行うための環境を整えています。
実験室には、核酸を扱う実験や遺伝子発現解析に必要な機器が一通り整備されており、 基礎から応用までの実験を実践的に学ぶことができます。 また、培養室や人工気象器、クリーンベンチを備えており、 植物の組織培養や環境制御下での実験も可能です。
栽培実験には、研究・教育に利用可能なビニールハウス8棟を使用しており、 1研究室で複数棟を活用できる恵まれた環境のもと、 本格的な栽培試験にも対応できます。
本研究室では、研究テーマとは別に、スマート農業の実践例として、Arduinoを用いた自動灌水・ミスト制御装置の試作・運用に取り組んでいます。
これまでの試行錯誤を整理し、「Arduinoを用いた低コスト自動ミスト制御装置の作り方」として公開しました。
装置構成や制御方法を、栽培現場でも活用できる形でまとめています。
簡易な環境制御の一例として、教育・研究・現場利用の参考になれば幸いです。
メンバー紹介
野菜が好きな人、栽培に興味がある人、
そして植物生理学や分子生物学に関心のある学生を歓迎します。
研究テーマは、分属希望者の興味や関心に応じて相談しながら決めています。
ビニールハウス周辺の雑木林の伐採と雑草の草刈りを頑張ってます。
分子生物学を基盤として、
微生物からモデル植物、作物まで、
さまざまな生物材料を用いた研究に取り組んできました。
基礎研究から現場・企業での経験を経て、
現在は蔬菜(野菜)を材料に、
栽培現場の課題を分子・生理の視点から解決する研究を行っています。
広島県呉市
高知大学農林海洋科学部農林資源科学科フィールド科学コース暖地農学分野
→農林資源科学科フィールド科学コース
→フィールド科学コース公式サイト
蔬菜園芸学
itotakes[at]kochi-u.ac.jp
物部キャンパス4号棟1階蔬菜園芸学研究室
→高知大学物部キャンパス