このページでは、各研究 テーマについて簡単に説明します。

データ分析・データマイニング

現在、企業,公的機関,研究所,大学など様々な組織において、その内外の膨大なデータ資産の活かし方が、企業・組織の競争力を左右するといわれている。組織が保有するデータを活用した分析や予測が盛んに行われており、組織活動はデータが支えていると言っても過言ではない。このように、ビッグデータ分析技術を利用して新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して価値を創出し、競争上の優位性を確立することが求められている。この活動は,デジタルトランスフォーメーション(DX)と呼ばれ、様々な組織が、データ活用による新たな価値創造を目指している。

このような現在、様々な組織の DX を実現する方法を、多くの企業との連携によって研究開発し、将来の DX を担う人材の育成を目指す研究をおこなう

組合せ最適化

有限個の解集合から目的関数を最小(または最大)にする解を求める。

ただし、有限個といっても一般には非常に大きいので、解集合を列挙する(一つずつ調べていく)方法ではスーパーコンピュータを使っても無理。

問題固有の性質を上手に利用して、効率よく最適解を求める工夫が必要。

関連分野としては、 線形計画 (Linear Programming),ネットワーク計画 (Network Programming),整数計画 (Integer Programming),組合せ理論 (Combinatorics), グラフ理論がある。

計算幾何学

主に、2次元平面上の初等幾何学を用いて記述される理論的・実際的問題を解くアルゴリズムや解の性質について論じる学問分野

応用分野としては、コンピュータグラフィックス,地理情報処理,ロボティックス,コンピュータビジョン,パターン認識,CAD/CAM,データマイニングなどがある。

例えば『郵便局問題』

「平面上に多数の点(郵便局)が配置されているとする。その平面上に任意の点が与えられたとき、その点から一番近い郵便局を見付けなさい。」

人間が目で見たら簡単に候補を絞り込めるが、コンピュータにはそれができない。ちなみに、日本に郵便局は大小取り混ぜて24,000くらい、京阪神だけでも2,500くらいある。なるべく無駄な計算をしたくないのだが、どうやればいいか...

避難計画問題

東日本大震災以降、防波堤等による物理的対策の限界が露呈し、日本全土における災害予測および防災計画の見直しが進められ、避難経路や避難場所等に代表される避難計画の重要性が認識され、全国で整備されつつある。その際には、避難時間、避難所の収容人数などの避難計画の妥当性を判断する必要がある。

通常、妥当性検証には、計算機シミュレーションが用いられているが、大規模な避難シミュレーションの実行にはペタ級のスーパーコンピュータの処理能力が必要となる。一方、我々は,シミュレーションとは異なる数理モデルを用いた避難計画問題に対する理論的なアプローチを採用している。その利点は、得られた結果は、数学的な理論を元とした定量的なものであるため、公平性や再現性を有している点である。

しかしながら、現在最速の Hoppe,Tardosによる多項式時間アルゴリズムは非常に複雑で、実装が困難である。よって現状では、実装が容易である時間拡大ネットワークを用いる方法が主流であるが、記憶領域の問題等で大規模な問題に対して扱うことが非常に困難である。このように未解決の取り組むべき課題は多い

添付記事(12)を参照

一例として、左図は

大地震にともなって津波警報が発出された場合の避難シミュレーションの結果。大阪市の湾岸地域における、出発点毎の避難時間の平均値を計算している。大きな点が到達点で、赤い場合は避難所の収容量が飽和している(満杯になっている)ことを表す。

組合せ剛性理論

空間内に点とそれを繋ぐ直線とで描かれたグラフをフレームワークと呼ぶ。組合せ剛性理論は、さまざまなフレームワークの安定性を組合せ的に特徴付ける

例えば、下図1の2つの四角なフレームワークを考えると、明らかに左のものよりも、右の方が剛性が高い。しかし、四角でも、それが複数個繋がって複雑な構造になると(下図2)、答えはそう簡単ではなくなる...

図1

図2

bar-jointフレームワーク,body-barフレームワーク,body-hingeフレームワーク,pnale-hingeフレームワークなど、さまざまなフレームワークモデルに対して理論が作られている

1.1 構造物の生成と解析への応用 剛性判定の高速なアルゴリズムや、剛なフレームワークの生成、列挙アルゴリズムの設計を行う.

1.2 たんぱく質機能解析への応用: 分子構造をグラフでモデル化し,分子(タンパク質)の3次元構造の把握,挙動の予測(シュミレーション)をおこなう(下図4)

図3 図2のフレームワークの剛性

図4 分子フレームワークを多重グラフでモデル化したもの